AT&Tは米国時間5月18日、DirecTVを485億ドル相当の現金および株式で買収することで合意したと発表した。有料テレビ業界の再編を促す買収が提案されたのは、2014年になって本件で2件目だ。
両社が18日に出した声明によると、DirecTVの株主は総額で1株当たり95ドルを受け取る予定で、28.50ドルは現金、66.50ドルは株式で支払われるという。1株当たり95ドルという提示額は、DirecTV株式の16日の終値に10%のプレミアムを上乗せしたものだ。
両社は共同声明の中で、「この買収により、両社はお互いに相手の弱い部分を補うことができる。モバイルと動画、およびブロードバンドサービスの分野において前例のない能力を持つユニークな新勢力が誕生する」と述べた。
今回の買収は、12カ月以内に手続きが完了すると両社が予測しているが、家庭向けサービス分野に強力な企業を生み出す。AT&Tは自社の無線ネットワークを、全米で展開されているDirecTVの衛星テレビサービスと組み合わせることができる。今回の買収提案の背景には、AT&Tが同社の中核的な無線事業で成長の鈍化に直面しており、有線サービスでも競争が激化しているという事情がある。ComcastがTime Warner Cableを452ドルで買収すると提案した案件でも、このことが要因となっていた。
つまり、DirecTVの買収により、さらに多くの消費者がAT&Tのテレビサービスにアクセスできるようになる可能性がある。現状では、同サービスは、AT&Tが有線インフラストラクチャを有している米国の地域に限定されている。買収が成立すれば、無線音声およびデータサービスを含むサービスバンドルの可能性も出てくる。
Jackdaw ResearchのアナリストであるJan Dawson氏は、「少なくとも一部の消費者にとって、それは、現在彼らが利用しているAT&Tの影響下にないケーブルおよび電話サービスの代替として、興味深い存在になるかもしれない」と述べた。
2014年に入ってから多くの買収が行われており、本件はその最新のものにすぎない。AT&TとDirecTVの案件は、ComcastがTime Warner Cableの買収を提案した案件や、Facebookによる190億ドルでのWhatsApp買収、Lenovoが29億ドルでMotorola MobilityをGoogleから買収した案件、SprintがT-Mobileとの合併を求めて交渉を継続している案件に続くものだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したもので す。
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