NTTは5月16日、NHKが実施する8Kスーパーハイビジョン映像による2014 FIFA ワールドカップ ブラジル大会のパブリックビューイングにIP伝送技術を提供し、約1万8000km離れたブラジルと日本の間で国際共用IP網を使用したライブ映像伝送の実証実験を行うと発表した。8Kスーパーハイビジョンは、4K映像の4倍に相当する3300万画素(7680×4320画素)の映像と、22.2マルチチャンネルの音声による放送規格で、NHKが中心となって開発を進めている。
今回のライブ映像伝送実験では、NTTの研究開発用テストベッドネットワーク「GEMnet」、国立情報学研究所の学術情報ネットワーク「SINET4」、米国の「Internet2」、中南米の「RedCLARA」、ブラジルの「RNP」という5つの国際共用IP網を相互接続することにより、ブラジルから日本まで2つの伝送ルートを併用してデータを伝送するマルチパス伝送を実施。
共用ネットワークの使用にあたっては、回線混雑の影響によりパケットロスと映像の乱れが発生する可能性があるが、NTTが開発したパケット伝送用誤り訂正符号(FireFort-LDGM)を適用することより、パケットロスが発生した場合でも映像が途切れることなく安定的に映像を伝送できるという。
NTTによると、4Kや8Kなどの高精細な映像を安定してネットワークで伝送するためには、高速な専用線や衛星回線を使用する必要があり、通信コストが増大するという課題があった。そこで国際標準のメディア伝送規格であるMMT(MPEG Media Transport)にNTTが開発した誤り訂正技術を適用し、国際共用IP網を活用することで低コストで安定的な伝送が可能になるとのこと。
今回の伝送実験の結果は、今後ライブビューイングのほか、遠隔医療、遠隔会議、遠隔授業などへの応用を検討してきたいとしている。
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