UPDATE The Financial Times(FT)の報道によると、AppleはBeats Electronicsを32億ドルで買収することを目指して交渉中であるという。Beats Electronicsは、ヒップホップアーティストのDr. Dre氏が共同創設したハイエンドヘッドホンメーカーだ。
同報道によると、この買収案件は早ければ来週にも発表される可能性があるが、まだ確定はしておらず、両社間において継続中の交渉がまとまらない可能性もあるという。
Beatsは、低音を強調したヘッドホンシリーズの販売に加えて、競争の激しいサブスクリプション型ストリーミングサービスの市場にも進出している。同社のモバイルアプリは、Appleの「iTunes」や「iTunes Radio」と異なり、広告がないオンデマンドの楽曲聴取を月額約10ドルで可能にしている。買収が成立した場合、AppleはBeatsのハードウェア部門に加えてサブスクリプション事業も獲得することになり、Beatsの経営陣はAppleの最高経営責任者(CEO)であるTim Cook氏の直属になるとFTは付け加えている。
Appleはかなり以前からBeatsと良好な関係を維持しているが(Beatsのヘッドホンは、Appleの直営店に加えて、オンラインストアのアクセサリセクションで目立ったところに置かれている)、結果的に、今回の買収の最重要点は「Beats Music」になるかもしれない。
Beatsのストリーミングサービスは、iTunes Radio(2013年に導入されたオンラインラジオサービス)に続いて、Appleの音楽戦略の重要な一部になるかもしれない。Beatsは料金請求とマーケティングに関してAT&Tと強力な提携を結んでBeats Musicを公開した。一部報道によると、Beats Musicは急速に成長しているという。Beatsは正確な会員数をまだ発表していないが、業界は会員総数を約20万人と見積もっている。
今回の買収交渉の背景には、AppleのiTunesが長く支配してきた単発のデジタル購入から、Beats Musicのようなサブスクリプション型サービスへと楽曲購入のトレンドが変化しているという事情がある。全米レコード協会(RIAA)のデータによると、2013年、あらゆるデジタルフォーマットの中で最も急速に成長したのは有料のサブスクリプション型サービスで、57%の成長を記録したという。その一方で、iTunesの専門である恒久的なデジタルダウンロードは1%減少した。
Dre氏と音楽業界で幹部を長年務めてきたJimmy Iovine氏が2008年に創設したBeatsは、派手に宣伝されたヘッドホンで知られている。批評家はそれらの製品について、有名人を宣伝に利用しているだけで実質はほとんどないと批判している。しかし、派手なブランディングや有名人との提携はメインストリームの消費者の共感を得ることに成功しており、Beatsは、ヘッドホンの価格が高めに設定されているにもかかわらず、ヘッドホン市場で最大のシェアを誇っている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したもので す。
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