「収益、利益、EBITDAすべてで2桁成長。(通期で)初めて4兆円を超えた」――KDDI代表取締役社長の田中孝司氏は、2014年3月期(2013年4月~2014年3月)の連結業績についてこう手応えを語った。売上高は前年同期比18.3%増の4兆3336億2800万円、営業利益は同29.4%増の6632億4500万円、純利益は同33.4%増の3220億3800万円だった。
au純増数は281万で、携帯電話契約数は累計4000万を突破。スマートフォン浸透率は約49%、LTE浸透率は35%に拡大した。固定通信とセットで契約することで月額料金を割引く「auスマートバリュー」の浸透率も22%まで増えている。LTE(800MHz帯)の実人口カバー率は3月14日に99%を達成した。
ダウンロードし放題のアプリやクーポン、ストレージを月額390円で利用できる「auスマートパス」は、サービス開始から約2年で1000万契約を超えた。auスマートパスの成長にともない、「うたパス」や「ビデオパス」「ブックパス」などのコンテンツ事業者から得られる決済手数料である“付加価値”ARPU(1加入者あたりの月間売上高)も拡大しているという。
田中氏は、自身が社長に就任した2012年度をauモメンタムの回復に向けた“基盤事業の立て直し”の年、2013年度を3M戦略を本格展開する“成長起点”の年と位置づけてきたと説明。2014~2016年度の3年間は“本格的な利益拡大”に向けた年だと語り、その初年度としては実績を残すことができたと胸を張った。
今後は、4000万人の顧客基盤と、99%のエリアをカバーするLTEのインフラ基盤をベースに「新たな成長ステージへ進む」と田中氏は語る。そのために重要になるのが、ユーザー1人あたりのマルチデバイス化を加速させ、より付加価値ARPUを拡大させる「ID×ARPU」への注力だという。
具体的には固定通信の提携パートナーとの連携を強めることで顧客とのタッチポイントを増やすほか、au IDと紐付いた電子マネーカードサービス「au WALLET」を夏に開始する。さらに、LTEの次世代技術であるキャリアアグリゲーションを夏に導入することで、受信時最大150Mbpsの高速通信を可能にする予定だ。
田中氏は、これらの施策によって2015年度は2期連続の営業利益2桁成長を目指すと意気込む。ただし、au純増数については同社のスマートフォン浸透率が約5割に達していることや、3月をもってキャッシュバック競争が落ち着いたことなどから成長の鈍化が見込まれるとして、2014年度の281万契約を下回る265万契約を目指すとした。
なお田中氏は、定額制の音声通話やVoLTE(LTE回線を使用した音声通話)の導入について「もう少し様子をみたい」と語り、すぐに他社への対抗策などを打ち出すつもりはないことを明らかにしている。
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