「ニュースアプリの領域では、日本は海外より1年は進んでいる。その強みを活かしてグローバルに対応していきたい」――グノシーは4月24日、ニュースアプリ「Gunosy(グノシー)」の海外展開を発表した。第1弾として、4月22日から英国において英語版のiOSアプリの配信を開始。5月中旬にはAndroidアプリも配信する。世界で“日本式”のニュースアプリを浸透させ、3年後には1億ダウンロードを目指す。
グノシーは、エンタメやスポーツ、社会、経済など、幅広い分野のニュースをまとめて閲覧できるアプリ。当初は、ユーザーが利用するSNSやはてなブックマークの内容をもとに個々の嗜好に合ったニュースやブログを抽出して、決まった時間に配信するサービスだったが、2月に大きく方針を転換。個人向けの情報に加えて、網羅的な情報も閲覧できるようにした。
グノシー代表取締役 共同最高経営責任者の木村新司氏は「従来は厳選したニュースを朝刊、夕刊といった形で配信していたため、ユーザーはグノシーを見てから他のニュースアプリを見るなどの使い分けをしていた。それでは両方のニーズをカバーできないと考え、一般的なニュースとパーソナライズなニュースをどちらも見られるようにした」と、サービスを刷新した狙いを語る。
この翌月となる3月には、KDDIから推定12億円と言われる大型の資金調達を実施。その資金を元に、ウルトラマンを起用したTVCMや、交通広告などを大規模に展開し、一気に露出を増やした。この効果は絶大だった。3月中旬には180万だったアプリのダウンロード数が、4月23日時点で250万を超えた。木村氏によれば「他のニュースアプリの倍以上のスピードで伸びている」そうで、5月下旬には400万ダウンロードに達する見込みだという。
ただし、サービスを刷新した際のユーザーの反応は賛否両論だった。当然、従来のように個人に最適化されたニュースだけを読みたいユーザーもいる。現在はそうした人のための救済措置として朝刊と夕刊だけが読める「Gunosy Lite」を引き続き提供している。また、よくライバルとして引き合いに出される「SmartNews(スマートニュース)」と、グノシーの新デザインが似ているのではないかという声も聞かれるが、「タブ形式のニュースアプリは沢山ある。ユーザーに必要なものを提供した結果」(木村氏)と説明した。
収益については具体的な数字は明かさなかったが、2013年11月から提供している、ユーザーの興味関心に基づいて広告を配信できる「Gunosy Ads」は順調に成長しており「非常に収益性は高い」(木村氏)そうだ。ただし、一部のユーザーから広告の表示に関して、記事との見分けがつきにくいといった意見も寄せられていることから、引き続き見せ方は検討していきたいという。
海外展開に話を戻そう。多少のカスタマイズはしているが、英語版のグノシーでも基本的には日本と同様のユーザーインターフェース(UI)を採用している。当初は英語圏の約500媒体の記事を配信しており、トピック、UK、ワールド、ライフスタイルなどのカテゴリ別でニュースを閲覧できる。今後は利用動向を見つつ、英語圏以外の言語にも対応していく予定だ。
情報収集の仕方について、日本と海外で「大きな違いはない」と木村氏は見ている。多くのネットユーザーは、FacebookやTwitterなどSNSのフィードに流れてくるニュースを閲覧するようになったが、フレンドが増えるほどそれらの情報をすべて追いかけるのが難しくなる。この世界共通の悩みや不満に対する1つの解として、グノシーを提案していきたい考えだ。
しかし、当然各国でもニュースアプリは提供されているが勝算はあるのか。この疑問について木村氏は、1億ユーザーを超えるソーシャルニュースアプリ「Flipboard(フリップボード)」を例に挙げ、「ニュースの潜在的なニーズとして、ちゃんとその日にその国で起こったことを網羅的に知りたいと思うが、Flipboard(のUIやコンテンツ)では取りこぼしてしまう」と指摘。
グノシーを始めとした日本のニュースアプリは、リアルタイム性や網羅性といったユーザーのニーズを汲み取ってきたことで、国内ではFlipboardを超える規模にまで成長していると説明する。木村氏は「最終的には活発に使われているものに置き換わる。日本のようにグローバルでもFlipboardを(ユーザー数で)ひっくり返せる」と自信を見せた。
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