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シャープ試作のツンデレ妹系ロボット掃除機が担う“会話する家電の未来” - (page 2)

佐藤和也 (編集部)2014年04月23日 09時30分
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社外とコラボする「SHARP Cloud Labs」と身近な家電を目指す「ココロエンジン」

 シャープは社外の企業、大学や地方自治体などの団体とクラウド関連サービスを開発したり、試作品のモニターを募ったりする場として「SHARP Cloud Labs」を新設。自社開発にこだわるだけではなく、パートナーを広く募集しお互いの得意分野を生かした製品作りや実験の場として展開している。さらにユーザーからの意見を積極的に取り入れて反映させていく取り組みだ。「これまで自社開発を基本としていたが、社外の方々の知見や強みを生かした実験を行っていく。さらにソフトウェアのベータテストのような、ユーザーの声も取り入れて独りよがりにならない開発を行い、よりよい製品作りを目指すのが目的」(野村氏)。

  • SHARP Cloud Labs

 この取り組みには家庭菜園をサポートする「菜園コンシェルジュ」や、自転車でコースを走行しているチームメイトの位置を、ピットでリアルタイムに把握する「スマココ」などがある。プレミアムなCOCOROBOもそのひとつであり「漫画家×声優×COCOROBO」というコラボレーションとなっている。

 そして音声会話機能の搭載で狙うのは、一言で言えば差別化であり、身近な存在として家庭にあることが目的。家電における性能や省エネの競争はいつが限界がくるものであり、その限界も見え始めている状態にあるという。シャープでは人工知能技術を採用したインターフェースを可能にする「ココロエンジン」を搭載し、おしゃべりによって暮らしにヒントを与えたり励ますなど“ココロ配り”ができる家電を目指している。ココロエンジンは2012年に開発し、搭載した家電第1弾がCOCOROBO。これ以降、冷蔵庫、空気清浄機、炊飯器など搭載家電を広げている。

 ちなみにロボット掃除機市場は堅調に市場を拡大しているという。「2013年11月にRX-V200を発表した際、2013年度は45万台と予測していたが、実際にはその予測を上回り、今後も拡大傾向が続くものと思われる」(シャープ広報室)という成長分野となっている。

さまざまな経緯やヒントから作られたプレミアムなCOCOROBO

 市販化が目的ではないとはいえ、プレミアムなCOCOROBOは突発的なアイデアから制作されたものではなく、これまで取り組んできた実験やそこで得られたヒントなど、いくつかの背景があった上で、さらに時間と手間を重ねて形作られたものだ。

 COCOROBOにおける研究開発の一環として、2013年4月に東京急行電鉄とともに、新しい生活スタイル調査を行った。東急電鉄の賃貸住宅の一部世帯に調査モデルを提供。当時のCOCOROBOが持つ音声会話機能に加え、運行情報や沿線情報、生活情報や省エネアドバイスを音声で提供できるマシンとなっていた。

  • 東京急行電鉄と新しい生活スタイルの調査を行ったときのサービス概要

 この取り組みで、実際にどんな問いかけがあったかを分析したところ、お役立ち情報や操作系の言葉よりも、感情や日常会話的な問いかけなどをすることが多いという結果が得られたという。「このことからコミュニケーション自体を楽しんでもらえるニーズがあるとわかっ た。またCOCOROBOを購入していただいた利用者からも、もっといろんな会話ができるようにしてほしい、魅力的な声でしゃべってほしいといった要望が多く寄せられた」(野村氏)。これにより音声会話に磨きをかける実験を進めていくこととなったのが、プレミアムなCOCOROBO誕生の背景となっている。

 会話をするといっても、その相手によって当然会話内容は変化するもの。そのためキャラクタを明確に設定し、どんな反応が得られるかをテストするため「魅力的な音声」「かわいらしいキャラクタ」「個性的な性格」という特徴付けがなされた。これが声優とキャラクタイラストの起用、ツンデレな性格につながっている。

  • プレミアムなCOCOROBOの女の子

 性格がツンデレになったのも背景がある。大阪市とともに新たなイノベーション創出に向けた取り組みとして「CoCreationJam」(コ・クリエーション ジャム)を、2013年11~12月にかけて開催。このときにCOCOROBOを活用して優秀賞を受賞したのが「ツンデレROBO」。普段は冷たくあしらうものの、最後には照れながらありがとうと言う。そんな姿が、より人間らしさを感じられると評価された。これをヒントに、たまに不機嫌な回答をするツンデレな妹という設定がなされた。

  • 声を担当した木戸衣吹さん

 イラストの描き手と声優の選定には「さまざまな方にヒアリングするなどの調査を行い、独自の分析も加えて約3カ月ほどかけて検討した。試作とはいえ、利用者の方に喜んでもらえることが第一で、キャラクタ作りも含めてそこには時間をかけた」(徳永氏) という。女の子のプロフィールも釣りが趣味ということのみ公開されているが、実際には細かく設定。キャラクタデザインも霜月さんとの綿密なやりとりを重ね、イラストのラフが上がるまでに約2カ月以上も要したという。木戸さんの収録については「演じるというよりは、家族に話かけるように自然体でお話しくださいと、その一点だけリクエストした。それを的確にくみ取っていただいた」(徳永氏)。

 発表後に話題となったこともあってか、モニター募集には予想以上の応募があったという。野村氏は「話題だけがひとり歩きしてしまったかなと感じるところはある。決して話題作りのために奇抜なものを意図したわけではなく、大まじめに音声会話機能の追求のために試作したもの。市販化目的ではない実験だからこそ振り切ったものを作れたという側面はある」と、反響の大きさに対する率直な感想を語った。その一方で「モニターをしていただく以上、確実に意見を返してくれるコアな趣味を持っている方に、ちゃんと届くような形にしたかったというのもあった。その意味で考えれば反響は狙い通りで魅力的に感じてもらえた結果だと思う。どういった反応をされるかということも、我々として知りたかったこと」とも語っていた。

 今回得られた反応や反響、そしてモニターの方々が利用した結果をもとに、ココロエンジンによる音声会話機能の向上を図るとともに、さまざまな製品作りに役立てていくという。また前述したSHARP Cloud Labsとして展開するパートナーを継続的に募集し、さまざまな取り組みについて意欲的に挑戦していきたいとしている。

 「なかなか自社開発だけでは思いつかない発想、強みがみなさまにはあると感じており、多くのパートナーといろいろな実験をして、新しい製品やサービス創出に取り組んでいく。また音声会話については、物珍しさやインパクトを出す一過性のものではなく、ココロエンジンが紡ぎ出す身近な家電という世界観を大事にして、より魅力的な音声会話ができるように突き詰めていきたい」(野村氏)

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