自身も起業の経験があり、投資家としても活動しているWilsey氏は、起業家が出てくるための文化と環境を用意することが大切だという。
「私たちは、誰かをイノベーティブなマインドにすることを強制することはできない。第一に考えるべきは、何かを生み出したいと思う人をエンパワーメントする環境づくりが大切だ。それまで思ってもいなかったところから、イノベーティブなアイデアや起業家が生まれてくることは往々にしてある。組織や文化は、イノベーションを受け入れる体制を作らなければいけない」(Wilsey氏)
文化と環境づくりに必要な要素として「失敗を受け止め、周りはその失敗を評価すること」だとWilsey氏は語る。失敗をした時、積極的に周りに共有することが大切であり、組織においては部下と失敗について語り、失敗を語ることを恥だと思わないことが大切だという。
「誰も、何かを始めた時から失敗を計算には入れていない。成功する意識を持っているはずだ。結果を常に意識し、それでもダメだったときに初めて原因や問題を追求できる。優秀な企業や起業家の多くは、成功までに悲惨な失敗を経験してきている。それらを乗り越え、克服し、経験を周りと共有してきたことで成功へと辿り着いた。失敗こそ評価されるべきであり、失敗を周りと共有することがイノベーションを起こすために必要だ」(Wilsey氏)
モデレーターの夏野氏は、企業の中で起業家のマインドセットを育てるためにはどうすればいいかと質問した。森川氏は何かを動かす人は「クレイジーな人」だと語った上で企業としてイノベイティブな組織を作るために必要な経営者の視点について言及した。
「企業には、賢い人とクレイジーな人がいるが、クレイジーな人だけが集まってもうまくいかない。賢い人とクレイジーな人がいかにコラボレーションできるか。賢い人は合理的な判断をもとに何もしないことを最善の策だと考えがちだ。そうではなく、賢い人にとって変化を起こし何かを動かすことがメリットだと思わせるためにどうするかを考えなければいけない」(森川氏)
Yang氏は、組織にイノベーションを起こすためには“危機感”が重要だと語る。「数カ月後に生き残っているかどうかわからないスタートアップだからこそ、常に危機感を持って行動している。大企業はすぐに倒れる心配がないが、時に現状に安住する傾向がある。外部市場の動向だけではなく、組織づくりの中で常に危機感を持てる文化を醸成することが、イノベーションを起こすために必要だ」(Yang氏)
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