Wi-Fiによる地球規模のネットアクセス提供を目指すGoogleの「Project Loon」で使用される気球は、33日間で地球を1周できるはずだ。同社はそのことを実証するために最近、「Ibis-167」という気球を飛ばした。Ibis-167は高速の気流に乗り、迅速に高度を変え、実際には目標よりも短い22日間で地球を1周することに成功した。
Googleは、Google+のProject Loonアカウントにこう記している。「(Ibis-167は)太平洋上空を少しうろうろした後、風に乗ってチリやアルゼンチンを目指して東へと向かい、その後オーストラリアとニュージーランドの近くにまで帰ってきた。その過程で、「吠える40度」の風(南緯40度付近に吹く西寄りの卓越風)に乗った。南半球の西から東に向かうこの強風は、短期間で海を越え、実際に必要とする人々がいる地に気球を送り届けるための空のアウトバーンとも言える風だ」
Project Loonは、高高度を航行する気球を使って、地球のどこからでもインターネットにアクセスできるようにするというGoogleの取り組みだ。同社は2013年6月にこのプロジェクトを発表しており、その際には気球が太陽光発電で稼働し、遠隔操作され、地上から12マイル(約19.3km)上空の成層圏の風の中を航行すると説明していた。この高度は、ほとんどの航空機が飛行する高度のはるか上空だ。衛星インターネットの仕組みと同様、気球は特殊なアンテナと地上の受信基地を利用して通信する。
Googleは、Project Loonの一環としてIbis-167の前にも複数の気球を飛ばしており、このプロジェクト全体で31万1000マイル(約50万km)もの距離を航行し、2~75ノット(約3.7~約138.9km/h)の風速を経験してきている。しかし、これほど速く地球を1周したことはなかった。
Project Loonのテスト飛行によって、Googleは気球の飛行経路をより正確に予想するための予測モデルの精度向上に役立つ、風に関するデータを収集した。また、同社は気球の空気ポンプを改良して効率を向上させ、迅速な高度変更を可能にしたことで、より速い気流に乗ったり逆風を避けられるようにもした。
Ibis-167は現在、2周目を回り始めている。GoogleはProject Loonの気球をより長時間航行させることで、さまざまな知見と進歩が得られ、Wi-Fi接続によるネットアクセスの提供という一大構想が現実のものに近づくと述べている。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス