“顔”だけで判断しないフィリピンのマッチングサイト「Peekawoo」--女性チームが開発

 この連載では、シンガポール在住のライターが東南アジア域内で注目を集めるスタートアップ企業を現地で取材。企業の姿を通して、東南アジアにおけるIT市場の今を伝える。

  • 「Peekawoo」のトップページ

 今回紹介するフィリピン発のマッチングサイト「Peekawoo」は、メンバーのほとんどが女性のチームによって開発・運営されている。創業者の2人は実の姉妹。開発者の1人を除いて、デザインも開発もマーケティングも、すべて女性のメンバーが担当している。

 創業者のValenice Balace氏によれば、フィリピンには性格がコンサバティブで、恋人や結婚相手、友人を探すことにプレッシャーを感じる人が多い。その背景にはカトリックの宗教観や家族を大切にする旧来的な価値観があるという。Valenice氏は、そうしたプレッシャーを軽減し、むしろ楽しみを提供したいと考え、このサービスを始めた。

顔よりも内面を重視するマッチングの仕組み

 Peekawooの特徴は、そのマッチングの仕組みにある。ユーザーはFacebookもしくはTwitterアカウントでログインし、手入力で2択形式の質問をいくつか設定する。たとえば「Loving(愛したい)/To be loved(愛されたい)」「Watch TV(家でテレビを観たい)/Go on Shopping(ショッピングに出かけたい)」「Expect the worst(最悪の状況を想定する)/Hope for the best(最高の状況を想定する)」など。

 マッチングの際にはユーザーのアイコンとそれらの質問が表示され、回答が一定数以上一致しないとマッチングされない。このような設計にした意図についてValenice氏は、「他のサービスは“顔だけ”で判断されることが多いが、Peekawooではその人のパーソナリティを重視したかった」と話す。

  • ユーザーはプロフィールページで質問を設定する

 うまくマッチングすると、マイページ上に相手のアイコンと、サービスへのログインに使われているFacebookもしくはTwitterアカウントへのリンクが表示される。現在のところ、個別に連絡を取りたい場合はソーシャルメディアを経由して行うが、今後のリニューアルによりサービス内で個別のチャットが可能になるという。

 Peekawooでは、ユーザー数の増加とマッチングの機会を提供するために、サービスの外でもいろいろな施策を展開している。たとえば、クリスマス直前やバレンタイン当日にはBARなどでマッチングイベントなどを催し、ときには女性が男性にアプローチする仕掛けなども用意する。YouTubeでは異性と上手くマッチングするためのティップスを紹介する動画も公開している。

 2013年9月にサービスを開始し、ユーザー数は1万7000人。フィリピンのユーザーが7割を占めるが、インドネシア、インド、米国などにもユーザーがいる。男女比は、男性が約54%、女性が約46%。初めは70%が男性ユーザーだったが、女性のチームが開発しているという安心感が浸透し、徐々に女性のユーザーが増えていったそうだ。

  • 創業者のValenice Balace氏(右)とエンジニアのMara Ang氏(左)

 Peekawooでは、さらなるサービスの拡大に向けて、直近でリニューアルを予定している。新しく実装される主な機能は、先ほど紹介したサービス内での「チャット」、後述する「ショップ」、そしてユーザーの検索をよりしやすくする「ハッシュタグ」だ。ハッシュタグを使うことで、趣味や職業、出身校など属性からつながりたい相手を絞れるようになる。このほか、スマートフォンアプリも開発しているそうだ。

 マネタイズは今後の課題だが、Valenice氏は次のような手法を考えている。ひとつは年額もしくは月額制のプレミアムサービスの提供。そしてもうひとつは、ショップでのスタンプやチケットの販売だ。スタンプはサービス内のチャットで使えるようにし、チケットは飲食店や花屋などと連携して実現したいと話す。2014年内にユーザー数を50万人まで伸ばし、フィリピンに次いでユーザーが多いインドネシアへの進出も目指す。

 Valenice氏によると、フィリピンでは女性の起業家はまだまだ少ないそうだ。Peekawooチームが今後さらに活躍し、この国に明るい話題を提供してくれることを期待したい。

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