この「Wearable Tech Expo in TOKYO 2014」が開催されている真っ最中(3月26日)に、初日のプレゼンテーションにも登場した仮想現実ヘッドセット「Oculus Rift」を開発するOculusをFacebookが約2000億円で買収するというニュースが飛び込んできた。ウェアラブル端末に対する世の中の関心の高まりに合わせて、世界中でさまざまなスタートアップ企業が登場し、そしてその優れたテクノロジに投資をしようという大手企業の熱も高まっている状況を象徴するようなニュースだ。
数多くのスタートアップ企業が新たなハードウェアの開発、市場作りに挑戦しているなかで、資金力のある企業はそのムーブメントにどのように関わっていくべきか。「ウェアラブルスタートアップへの投資とその見極め方」では、ハードウェアのスタートアップ企業40社に出資し、クラウドファンディングのキャンペーンを成功させてきたインキュベーションプログラム「HAXLR8R(ハクセラレーター)」のBenjamin Joffe氏が、投資対象としてスタートアップ企業を評価する際のポイントを解説した。
Joffe氏は、ハードウェアスタートアップに必要な資質として、「ソリューションが解決すべき根本的な問題を考えなければならない」と述べ、その上で「機能する製品やコンセプトを持っているか」「それを制作・生産する能力を持っているか」「ビジネスセンスはあるか」「市場創生と問題解決に前向きになれる強いスピリットがあるか」などが求められるとした。また、新たなセグメントに市場を生み出すことができるか、需要は十分にあるか、適切な価格設定の上でどのように利益を上げるか、将来に向けた構想はあるか、なども重要なポイントだとしている。
一方で、「こんな投資はするな」という例としては、「優れた製品だがそれがどんな問題を解決するソリューションなのかわからない」「面白いが実用性がなくビジネス性がない」「簡単すぎて他社の追随を防御できない」「他社の製品に類似していて独自性がない」「ニーズへのキャッチアップが遅く、売った時には誰も買わない」「先進的すぎてニーズに合っていない」「エコシステムがローカルすぎる」といった点を挙げ、独自性をもって世の中の課題解決に貢献し、利益を上げることができるかどうかを見極めることが重要だとした。
その上で、ウェアラブルスタートアップへの投資を見極めるポイントとして、Joffe氏はスタイル、快適さ、重さ、大きさといったデザイン面での評価に加え、価格設定、入力方法とレスポンス、どのようなアウトプットがあるか、そしてバッテリ性能がスペック面での重要なポイントであると指摘。「今の私たちのクセや習慣を強化するイノベーションであることが重要だ」と語った。ニーズとかけ離れた奇抜なアイデアよりも、私たちにとっていかに使いやすく、ニーズを満たす便利なプロダクトであるかが、市場を生み出すポイントであるようだ。
最後に、日本のスタートアップに対する課題と評価という点で、Joffe氏は失敗することへの不安や失敗に対する周囲の評価に対する恐れがある点を課題として挙げ、ビッグアイデアに対して臆病になってしまっている点を指摘。また、自分自身をプロモーションするスキルや周囲のサポート不足、グローバルなコミュニケーションのスキル不足なども課題であるとした。一方で、ものづくりにおいて日本は世界をリードする存在であり、サービスやホスピタリティも優れている点を挙げ、「グローバルで成功するチャンスはたくさんある。ガラパゴスを脱却してチャレンジしてほしい」と会場に呼びかけた。
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