アトランタ発--Qualcomm会長のPaul Jacobs氏には、どうしても胸の内に秘めてはおけないストーリーがあったようだ。
米国時間3月26日に開催されたある業界カンファレンスに登壇したJacobs氏は、モデレーターを務めたRutbergのアナリストRajeev Chand氏を遮り、同社が取り組んでいるデジタル脳とラットの研究にまつわる秘話を語りたいと譲らなかった。
Qualcommは、人間の脳のように機能するデジタル脳の開発に取り組んでいる。Jacobs氏は、マサチューセッツ工科大学(MIT)のある研究者の話を披露した。その研究者は、デジタル脳をラットに取り付けて迷路の進み方を学ばせた。そして、ラットからその記憶を消去すると、そのラットはもう一度デジタル脳を取り付けられるまで、同じ迷路を進むことができなかったという。
Jacobs氏はさらに話を進めて、同じデジタル脳を別のラットに取り付けると、そのラットは即座にその迷路の進み方が分かったと述べた。
「ぞっとするでしょう?」(Jacobs氏)
この話は、テクノロジが今後10~15年の間にヘルスケア産業を大きく一新していく上で役立つ、画期的な成果の1つにすぎない。Qualcommの中核的事業はスマートフォンやタブレット向けチップの開発を主軸としているが、その一方で同社は未来にも着目し、ヘルスケアを自社の重要な取り組みと位置付けている。
Jacobs氏は、ゆくゆくは人間の血流に注入されることになるセンサについても語った。同氏は、砂粒よりも小さなデバイスを使ったある実験について言及した。それは、ヒトが心臓発作を起こす2週間前に、そのことを本人に通知できるものだという。
「あなたなら、その通知をどうやって受け取りたいですか?」と同氏はジョークを飛ばした。
Jacobs氏は、この対談の中でいろいろな質問に答えた。FacebookがOculusを20億ドルで買収するという最新のニュースについて、同氏はこの買収交渉に参加する意思があったことを明らかにした。
Jacobs氏は、「彼ら(FacebookとOculus)は勢いに乗っている」と述べた。
Jacobs氏はこの買収案件の評価額について、自身の見解を明らかにすることは避けたものの、最近では評価額の判断が難しいと話した。しかし、究極的に買収価格は問題にならないとも指摘した。
「企業のためのビジョンを持っていれば、最初に支払う金額は重要なことではない。バックエンド側で、それを使って何ができるのかということだ」(Jacobs氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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