東京港区で開催された、ウェアラブルテクノロジを考えるイベント「Wearable Tech Expo in Tokyo 2014」で、「スマートトーイから始まるクリエイティブな“遊び”」と題し、ウェアラブルデバイスを使ったおもちゃを開発、推進しているMoffの代表取締役である高萩昭範氏が、ウェアラブルの技術による、新たな遊びの世界観を語った。作家の湯川鶴章氏、博報堂DYメディアパートナーズ ビジネスディベロップメント ディレクターの上路健介氏が、モデレーターを務めた。
Moffを手首につけて腕を動かすと、無線で連携したスマートフォンやタブレットのアプリが反応して、動きに連動した音が出る。例えばギターを弾くような動作、ラケットを振るような動作をすれば、それらに対応した音が出る。対応機種は、iPhone 4s、iPhone 5、iPhone 5s、iPod touch (第5世代以降)、iPad(第4世代以降)、iPad mini、iPad Air。この発想を同社は「自分の動きすべて、手にしたものすべてをおもちゃに変える」と表現している。
高萩氏は、Moffを開発したきっかけは「そもそも、社会的な課題の解決を図ったこと。一般的なおもちゃはすぐ飽きられ、捨てられる。それではもったいない。エコに反している。また、子供たちは(コンピュータによる)ゲームや、スマートフォン、タブレットに夢中で、もっと体を動かして遊んだ方がいいと考え、Moffを作った」と話す。
Moffは、2月にスペイン・バルセロナで開催された「Mobile World Congress 2014」(MWC 2014)にも出品され、注目を集めた。どんな音にも対応が可能で、カスタマイズもできる。「擬音はいわば世界共通であり、Moffは言語に依存することなく、ほぼ何の説明も必要としないで、遊ぶことができる。おもちゃとして子供に喜ばれることが大前提」と、高萩氏は指摘する。
今後の展開について高萩氏は「アプリケーションさえ変えれば、子供だけでなく、親や祖父母の世代も楽しめるものを提供できる。そのようなアプリケーションを開発していきたい」と語る。たとえば「エクササイズ、ダイエットもあるだろうが、高齢者が年齢を重ねるとともに、あまり身体を動かさなくなることも課題といえる。おじいちゃん、おばあちゃんが孫と一緒に、身体を動かしながら楽しめるようなもの出そうと考えている」という。
さらにその先は「既存の家電など物理的に存在しているものを、ウェアラブル技術とソフトにより置き換えていけたら面白いものができる。コンピューティングは、人間の身体に近づいている。例えばエアコンは本来、快適さを得ることが目的だが、体内を冷やすという体験を切り取って、ウェアラブル技術とソフトで形にできるのではないか。まず、我々の製品の面白さを訴え、地道にやっていきたい」と高萩氏は述べ、Moffのもつ、おもちゃとは別の可能性や潜在力への期待感を示した。
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