Wearable Tech Expo

ウェアラブルテクノロジとバッテリの関係に着目--リアル・フリート

 3月25~26日に開催されたウェアラブルテクノロジのカンファレンス「Wearable Tech Expo in Tokyo 2014」。ヘッドマウントやスマートウォッチなど、国内外のウェアラブル業界のキープレーヤーが登壇。最新技術や動向、展望を2日間にわたって語るイベントだ。その中でバッテリとウェアラブルデバイスの関係に着目したのがリアルフリートだ。


リアル・フリート 代表取締役社長 熊本浩志氏

 リアル・フリートはデザイン性を重視した家電製品のデザイン、販売を事業としている。携帯電話のデザインを手がけた経験を持つ、代表取締役社長の熊本浩志氏は「スマートフォンが登場した時、これだけ多くのことができるとなれば、デバイスと向き合う時間は圧倒的に長くなっていくだろうと感じた。実際に現在はその通りになっている」と話した。

 スマートフォンと向き合う時間が多くなることで起こる問題として「電池切れ。スマートフォンのバッテリがなくなって、あせって喫茶店に駆け込んで充電したり、コンビニに駆け込んでモバイルバッテリを購入したりした経験が皆あるのでは」とバッテリを挙げた。

 その回避策として、2年前にはバッグとバッテリを組み合わせた「BAGTTERY」を発売。「鞄に入れて移動中に充電可能で、iPhoneが3台分充電できるくらいの容量がある。モバイルバッテリを持ち歩いても、うまく充電できていない、忘れてしまったということがあるので、毎日持ち歩くものにモバイルバッテリを組み合わせるのが一番大切だと考えた」と紹介した。

 この製品を開発した時に強く感じていたのは、「ウェアラブルはダサいものであっては身につけてもらえない。このバッグをデザインする時にも、OAバッグにしてはいけないと強く心がけた」とウェアラブルにはデザイン性が重要な要素の1つであると言及した。

 さらに、この商品に対しては、「よくこんな馬鹿なものを」という声もあったそうだが、「電気を持ち歩くこと=ライフスタイルを変えることができるのではないかという可能性も感じた」とバッテリがウェアラブルにとって重要な要素となっているとした。


大型バッテリを使えばGoogleグラスも2時間以上利用できる

 実際に今回のEXPOの中でも、Googleグラスのバッテリが2時間しかもたないことや、それによってGoogleグラスを使って映画を撮影するのが難しいといった言及があったことを紹介し、「このバッテリ時間の制約から、どう解放するのかはウェアラブルにとって大きなテーマ」だとした。

 その回答の1つとして今回初公開されたのが、リアル・フリートが提唱するプロジェクト「W.E.A.」。WはWearable、EはEnergy、AはAllianceの略で、多くの企業などを巻き込んだプロジェクトとしていくことを狙ったものだ。

 「1つの企業が全てを受け持って製品を作り出すのではなく、1つのプラットフォームを皆で協業して、新しい体験価値を生み出していく。例えば日本には素晴らしいセルがある。これをみんなで活用し、融合しながら、アライアンスとして価値を生み出していくことができれば」と複数の企業、体験をデザインする消費者などの協業による新しい製品を生み出すことを目標とする。


ボトル型のバッテリ

 第1弾商品として企画したのが、ボトル型のバッテリだ。このバッテリは、USB、ACアダプタ、シガーソケットと3種類のソケットを持ち、iPhoneであれば12回、iPadであれば3回、電気毛布であれば4時間から8時間、高輝度LEDランタンであれば12時間利用できる容量をもつ。容量は水500mlよりは少し重い750グラム。

 「セルには(電気自動車の)Teslaが採用している汎用性の高いリチウムバッテリを採用した。ボトル型デザインとしたのは、バッグのポケットなどボトルを挿すことを想定して作られたものが多く、世界共通の形状だから。Googleグラスをつなげば、2時間以上、Googleグラスを使い続けることも可能となる。ボトルホルダを使えば、身体に装着して、即使い始めることができる」

 熊本氏は実際にボトル型バッテリをボトルホルダに入れて身につけ、それをGoogleグラスに接続してプレゼンテーションにのぞんだ。

 そして、「これを活用することで、グラフィックではない体験のデザインという新しい世界が開ける。考えられるアプリケーションは色々あるので、皆さん自身が体験をデザインして欲しい」と訴えた。

 さらにW.E.A.の今後のラインアップとして、「自走式バッテリ」を紹介した。自走式バッテリとは一般的には電気自動車。電気自動車を自動車として捉えるのではなく「運転もできるバッテリとして考えた」と話した。

 この"自走式バッテリ"を使えば、アウトドア生活をしながら普通の住宅にいる時と同じように電気を使って暮らすことや、お花見をしながら仕事をするといった、ライフスタイルデザインの変更ができるようになるという。

 「電気自動車をガソリン自動車と比較することはナンセンスだと考えている。ガソリン自動車にはなかった、新しい価値を生み出すものとして考えるべき」(熊本氏)

 なお、第1弾商品であるボトル型バッテリは、クラウドファンディングで製品化のための資金調達に挑戦している。「1万5000円投資していただければ、ボトル型バッテリが手元に届くはず。ぜひ、夏くらいには市場に製品を投入したい」と参加を呼びかけた。

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