ヤフーは3月13日、六本木のオフィス内で開発者向けイベント「Yahoo! ショッピング デベロッパーミーティング」を開催した。この日のテーマはもちろん、3月12日に発表されたAPIのフルオープン化についてだ。
EC革命と銘打ち、2013年10月に「Yahoo!ショッピング」のストア出店料と売上手数料の無料化を発表したヤフー。その反響は大きく、12月末時点で出店希望者数は9万件にのぼった。現在ストア数は6万店舗まで拡大しており、商品数も無料化発表前と比べて3割以上増えている。ヤフー 執行役員 ショッピングカンパニー長の小澤隆生氏によれば「そろそろ1億に届く」規模だという。
その後も、新たなストア構築ツールの公開やシステム改修など合計100以上の施策を実施してきたヤフー。その効果もあり、減少が続いていた流通総額は2013年12月には過去最高を記録するなど目に見える成果も出てきた。このように店舗や売り手、買い手が増えれば多種多様なニーズが生まれてくるが、ヤフー1社ですべてのニーズに応えていくのは容易ではない。
そこで、モールのさらなる成長に向けて打ち出したのが、Yahoo!ショッピングのAPIのオープン化だ。3月12日には第1弾として、これまでYahoo!ショッピングが提供する専用ツールでしかできなかった出品管理や在庫管理、ページデザインなど約50本のAPIを無料で公開した。主に「プロフェッショナル出店」をしている法人ストアが対象となり、4月以降には個人ストアや、スマホで構築できる「ライト出店」を選んだ法人ストア向けにも公開する。今後も数百本のAPIを開放していきたいとしており、7月には注文系APIを、秋には統計や販促、物流系のAPIを公開する予定だ。
「競合他社にも言えるが、ヤフーはあまりショッピングモールのAPIを出してこなかった。データはできるだけ隠す、システムはできるだけ内部で作る。重要なツールは我々がしっかり作るんだというコンセプトに基づいて長らく運営してきた。しかし、Facebookなどを見て分かるように時代は“オープン”だ」(小澤氏)。
ヤフーのEC革命は、同じソフトバンクグループである中国のEC最大手「淘宝(タオバオ)」のビジネスモデルを参考にしているという。淘宝の2012年の年間取扱高は約18兆円、また2013年11月11日のビッグセールの際には1日で約6000億円を売上げた。この驚異的な売上げに大きく貢献したのが、プラットフォームのオープン化だったという。
淘宝では400本以上のAPIを公開しており、18万人以上の開発者が商品管理やCRMなど7000種類以上のツールやサービスを販売している。たとえば、簡単にサイトデザインをファッションECサイト風に最適化できるツールや、自動的に商品をショーケースに展示してくれるツールなど。中には、月間の売上高が約9000万円にのぼるツールもあるそうだ。
ヤフー ショッピングカンパニープロダクション本部長/テクニカルディレクターの平田源鐘氏は、淘宝はAPIを開放して機能を充実させたことで、商品や売り手、買い手を増やし、アプリマーケットプレイスの成功につなげたと説明。Yahoo!ショッピングでも開発者と協力して出店者の課題を解決したいと意気込む。また今後は、ヤフーから各種ツールや機能を開発者に積極的に発注していきたいとした。
これらのAPIは「Yahoo!デベロッパーネットワーク」にアクセスし、Yahoo!ショッピング専用フォームから登録することで利用できる。なお、ヤフーとパートナー契約を結んでいる企業や開発者が、このAPIを活用して構築するサービスやツールは、「Yahoo! JAPAN コマースパートナー」上で公開される。
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