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日本初「Wearable Tech Expo」にかける想い--朝日新聞と博報堂DYの挑戦 - (page 2)

別井貴志 (編集部)2014年03月07日 10時00分
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上路氏:もともとは私は技術者なのですが、たとえば位置情報や画像認識というのはスマートフォンで実現されてきた技術です。博報堂DYメディアパートナーズと朝日新聞では、スマートフォンのカメラと専用アプリケーションを使って、新聞広告に掲載された専用の画像パターンを認識して特定のマークを読み取ることで、広告掲載商品やブランドに関連した映像や音声コンテンツを視聴できる「A-CLIP」などを共同展開しました。このように、朝日新聞とのつきあいは長く、しかも新しいことに関して敏感で感度が高く、新しいことに挑戦する際には声をかけていただいてます。

博報堂DYメディアパートナーズのビジネスインキュベーションセンター ビジネスディベロップメントディレクターである上路健介氏 博報堂DYメディアパートナーズのビジネスインキュベーションセンター ビジネスディベロップメントディレクターである上路健介氏

 そして私自身は、最近海外に行くと、非常に日本とのキャップがあることに気がつきました。テレパシーの井口さんがメガネ型のウェアラブル端末「Telepathy One」を発表したときに日本では「なんなんだこれは?」と言っている中で、NYに行ってみるとWearable Tech Expoの初回が開催されており、Google Glassをかけている人がたくさんいました。日本では聞いたことがある程度の時に、米国ではすでに何人もが身につけているのです。それで、このギャップを埋めるためにも、このエキスポを日本で開催したいと思い、共同で取り組むことになりました。開催の決定は非常にスピーディで、たしか2週間もかからなかったと思います。

竹原氏:いやいや、一晩ですよ(笑い)。

--エキスポの見どころは?

上路氏:米国では製品発表会的な内容になっていますが、日本では文化人とでも言うべき方がたをお招きして、ウェアラブル端末をどのように活用していくべきか、なぜウェアラブル端末が必要なのか、といった部分を中心に議論していく方針です。端末や技術発表にさらにプラスアルファして、現実的にここまでできる、こういう方向にしていかなければならないということをテーマにしていきたいと考えてます。

 たとえば、Production I.Gの全面協力のもと、SF小説家であり、「攻殻機動隊ARISE」の脚本を担当する冲方丁氏、そして「踊る大捜査線」はじめ「サイコパス」など、数々の映画を手がけた本広克行監督らを迎え、日本アニメが作り上げてきた未来像をもとに、ウェアラブルテクノロジーを議論するセッションがあります。また、2020年の東京オリンピックに向けたスマートシティ化などについても議論しますが、すでにウェアラブル端末の活用についても話が出ているそうです。

--元陸上競技アスリートの為末さんの登壇は意外な感もします。

上路氏:為末さんは現在義足の開発に関わっています。義足は広い意味でのウェアラブルだと思います。義足をいま以上にハイテク化すると、パラリンピックの競技などで健常者を超える記録を出すことも可能になってくるそうです。義足のエンジニアの第一人者であるソニーコンピュータサイエンス研究所の遠藤謙さんも登壇して対談していただきます。ハンディキャップのある方にとってウェアラブルは、もともとあった医療技術のひとつだったと思います。こうした視点も興味深いのではないかと考えました。

竹原氏:ウェアラブルに対する視点は3つあると思います。1つは、デジタル時代、ネット時代のいま、人と人が“つながる”ということです。2つめが“自分のライフログをとる”ということ。ヘルスケアの活用などですね。3つめが“身体能力を拡張する”ということです。この3つの視点の中で、どれとどれを掛け合わせるのか、どこにフォーカスするのかといったことが重要なのではないでしょうか。命に関わること、つまり健康であることと、わくわくすることが、ウェアラブルのビジネスや普及に関わる要素のように思います。

上路氏:逆に、「ウェアラブルなんて」と否定的な方も登壇します。そういう議論も大切だと思いますので。私は、ウェアラブルは知らないことを知るツールだと思っています。あ、俺ってこんなことをしていたのか、と。ただしこれは、知った方がよかったのか?という議論もあると思います。答えが出るわけではありませんが、ウェアラブルの普及で「これはいいことなのか、いけないことなのか」といったことも、さまざまに議論されるでしょう。

竹原氏:メディアの立ち位置でいうと、ウェアラブルは医療・ヘルスケア、スポーツなどの用途に特化するという意味ではミニマムスタートなのかなと見ています。スポーツでは選手のコンディションをどう計測するか、医療では患者さんの状態をいかにモニタリングするかなど。だからこそ、ベンチャーが挑めるような、マーケットの裾野が広い気がします。

上路氏:メディアとして考えなければいけないのは、アウトプットがいかに未来的になるかという点だと思っています。わくわくするような情報の出し方に挑戦して欲しいし、この部分でまたもや海外に先を越されました、ということになって欲しくないですね。

竹原氏:そういう意味では、AR(拡張現実)を利用したニュースの見え方を研究していて、「朝日新聞AIR」というウェアラブル端末向けデモアプリをWearable Tech Expoで出そうと準備しています。そのままローンチするかどうかは未定ですが、参考出展のような形で披露したいと思っています。

  • 朝日新聞東京本社にあるメディアラボ

  • メディアラボでインタビューした

--ウェアラブルにどのようにメディアは関わっていくべきだと考えますか。

高田氏:メディアとしては、2020年の東京オリンピックに向けてさまざまな取り組みをしようとしている中で、たぶん紙の新聞やデジタルの情報だけではなく、情報発信、受信のツールがもっともっといろいろできているはずだと思います。そこに向かって、さまざまにチャレンジすることが必要で、長い目で見てウェアラブルを取り込んだようなメディアが、2020年にはたくさんあるんだろうなと見据えつつ、挑戦し続けていきたいです。

 ウェアラブルは昔から概念はあって、あれば便利だろうなと言うことだったと思いますが、10年前には実現できなかったことがいまクラウドやブロードバンド通信でできるようになり、生活シーンにいよいよウェアラブルが使われ始めて来たというのが現状でしょう。これが、2020年に向けて加速していくでしょうから、普段、紙で見たり、PCやスマートフォンで見たりするだけじゃなく、もっと便利なモノがいろいろ出てくるので、朝日新聞社もシーンに応じて利用してもらえるような情報発信を考えていきたいです。

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