目指すはドリームキャストの夢の続きとマニアの理想郷--セガ竹崎氏に聞く「it-tells」 - (page 4)

佐藤和也 (編集部)2014年03月28日 10時00分
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譲れない匿名性と信頼度を担保するスコアシステム

--匿名性としているのは熱量の維持や参加しやすさ、名前にこだわらないところからだと理解していますが、荒れる心配も出てきます。

 たしかに完全匿名性にすると、それはそれですでに存在している掲示板などがありますし、当然荒れる要因にもなりますので、信頼度の担保をなにでするかというのが大切です。簡単なことではないですが、僕としては好きなことについて好きなだけ語る上で匿名性は譲れないので、匿名ではあるけどこの人がどういう人なのかを発言の重みで示そうと考えました。その要素は大きく2つあって、ひとつはit-tellsのスコアで、もうひとつはSEGA IDからわかるその人のゲームのプレイ履歴なんです。

  • ユーザーホーム画面。左側にスコアやバッジが表示される

 たとえばある人がセガのゲームに対してすごく厳しい意見を言っていたとします。その人がそのゲームのプレイヤーなのか非プレイヤーなのか。どれくらいの時間とお金と情熱を費やしてくれているのか。そのプレイ履歴によって発言の重みが異なるわけです。内部的にはその重みを判断材料のひとつにしたいと考えています。

 it-tellsではできるだけ自由に発言してほしいと思っています。セガが立ち上げたit-tellsですが、セガのことを少しでも悪く書いたら削除されたということになると、やってる意味がなくなってしまう。セガに対するまっとうなご意見は書かれていいと思っていますし、中にはそれに便乗する方もいると思います。でも、こちらは書いた方がセガのゲームをどの程度プレイしているかわかりますし、遊んでないのに意見を書いてるんだいうとことも把握できます。

 スコアに関しては、it-tellsというコミュニティにおいてその人が仲間との間に築いた「共感」や「信頼」を複雑な計算式で集計し、シンプルに100点満点の数字で表現したものです。万能ではないまでも、スコアである程度信頼できる人なのかを判断できるようにすることで、言葉や発言の価値を第三者から見てわかりやすくする。匿名性も維持しつつ信頼性も担保する形にしたわけです。

--スコアが変動するものとなると、モチベーションの維持にも影響が出るように見受けられます。上がりやすいほうがいいですけど度合いもありますし、下がると「なぜ?」と感じるユーザーもいるでしょう。

 it-tellsの肝となるのは、スコアのチューニングにあると考えています。そこは練りに練っていますし、実際にみなさんが使っているところを見ていきながらさらなるチューニングを実施していかねばならないと思っています。僕らなりの判断基準やスコア算出の式もありますけど、本当にその人となりを判断する要素に足りうるのかは、サイトを稼働させてから調整しないといけないと思います。

 もうひとつ、バッチというものも用意していますが、こちらは「参加することに意義がある」という位置づけで、累積評価をするものです。これは下がることはありませんし、ゲームのパラメータのようにどんどんレベルが上がっていきます。

--「そうだね!」ボタンも用意されています。

 発言の重みを評価するにあたって、その価値が共感に値するか否かを判断するために付けたものです。誰かが投稿して第三者が読むわけですから、その発言に価値があったと感じる人がどれだけいるのかということは客観的に認識したいので。やはり何かを投稿する以上、読んだ方がコメント以外でもなんらかのリアクションをとれたほうが楽しいという面もあります。

--機能としてはブログや日記的なものはなく、つぶやく形になっています。

 基本的にit-tellsは好きなものごとに掲示板的なコミュニティを作成するのと、つぶやくことの2つの要素で構成されています。匿名の誰かの人となりを知るには、たとえば特定のゲームの掲示板における発言を見ているだけでもある程度わかると思いますが、その掲示板なり特定のゲーム以外のことについて、彼が、そして彼女がどんなことを話すのか、というのも大きな要素だと思うんです。Twitterを見ていると、その人の発言の傾向ってなんとなく感じ取れます。掲示板の外でぽつんとつぶやくような発言が見えた方がいいなと。また、特に掲示板を作るほどではないけど、これだけは言いたいということもあるでしょう。そのために、つぶやきとはいってもかなりの長文の投稿ができるようにしていますし、Twitterとの連携も用意しました。

--実際に試されているユーザーなどの反応はいかがでしょう。

 ある声優の方にベータ版を試していただいたのですけど、個人のプロフィールページを見に行くと、その方が投稿したものはつぶやきもコミュニティの書き込みも全部出てくるわけです。でもご自分で管理されているファンコミュニティの場もあるわけで、それらをどう使い分けていくべきなのかがわかりにくいという指摘もいただいたので、そのあたりは今後うまく整理していくべきところかなと思っています。

 ただ、あくまで使われ方の話ですから、多くの方がこのように使うという使い方が見えてきたら、より使いやすい形で機能を足したり引いたりアレンジしたりしていくことが大事だと考えています。ネットサービスは、思わぬ使い方をされてそれがスタンダードになっていくなんてこともよくありますので。

--企業や団体の公式コミュニティに対応する予定はありますか。

 対応します。またコミュニティ開設そのものを有料にするつもりはないです。企業や団体のコミュニティを作っていただけるなら、こちらから公式マークを付けさせていただいて、公式コミュニティとして運用いただければと思います。そうやっていろいろなジャンルや対象のファンが集まれる環境を作ることができれば、it-tellsそのものが面白くなるというメリットがあるからです。そのような要望はいくらでもお聞かせ願いたいし、お問い合わせいただければと思います。

--サイトがローンチした直後に、延期する事態となってしまいました。

 満を持してのリリースではあったのですが、実際に動作したときにさまざまな問題があったということです。これは単にサーバーを増やせば解決するという話ではなく、動作したときに想定以上に負荷がかかるロジックがあったりと見直すべきところがいくつも発見されました。サーバーの増強だけであれば早く再開できましたが、負荷のかかる部分をしっかり対策しておかないと再発の危険性もありますし、ひとつボトルネックを解決したら別のところがボトルネックになるといったこともありますので、全体的な見直しと徹底的なチェックをかけていました。それが再開までに時間がかかった理由です。

 ただ、どんなにテストを重ねてもリアルな人が実際に使ってみるとどうなるかは完全にシミュレートできないので、サービス再開にあたっては人数を限定してのクローズドベータテストの運用とさせていただきました。最初からクローズドで始めればよかったのですけど、ゲームではないからオープンな形でベータ版をリリースしようとして結局サーバーが落ちてしまった。そこは大きな反省点です。順調に動作したときに起こりうる匿名性であるがゆえのコミュニティの問題にどう対峙していくかなど、先を見たさまざまな準備はしていたのですが、その手前となる負荷の部分で止まってしまうとは思っておらず、私自身も残念でしたし、みなさまにも申し訳なかったです。

 ネットのコミュニティサービスは動き出してから、いろんなことが必ずといっていいほど起こりますので、このあとどうやってうまく運用していくのかが問われますけど、到達したいところのイメージはぶれずにやっていきます。

--このit-tellsを通じて、竹崎さんがやりたいことはなんですか。

 マニアの理想郷を作ってみんなで楽しむこと。そしてセガがみなさんのニーズにお応えできるコンテンツを継続的に提供していけることです。

 熱心なファンは期待に応えてくれるものを欲しいと思っているし、メーカーはそれを提供すべきであり、それがうまくできたら両者にとってハッピーじゃないですか。当たり前すぎますが、世の中はそうなっていくべきだと思っています。良い物を作ったからと大宣伝して売り込むという時代ではないですし、ユーザーが自らコンテンツを作れる時代でもあります。そんなユーザーさんが作ったコンテンツを発表できるような場もit-tellsで作れたらいいなという構想は持っています。

 it-tellsがうまくいったとき、セガは日本中のマニアックな人たちの要望に応えうる会社になります。とっぴな物を作るけど、ユーザーのニーズには合致していて、とっぴなことをやっていてもビジネスとして成り立っている状況を作り出したいということですね。そしてさらに投資してとっぴな物を作り出すと(笑)。

 なぜそうしたいかといえば、僕はセガが好きだからです。セガには、「さすがセガ!」というものを作り続けていてほしいんです。セガは多少苦しくても新しいことをやろうとする会社です。だからこそいつまでも存続してほしいのです。とっぴな物を作っている会社がちゃんとビジネス面でも成り立っているのはうれしいじゃないですか。そんなセガになってほしいという願いを、it-tellsを通じて少しでもかなえられたらと思っています。

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