準備は整った。いよいよ試聴していこう。試聴環境としては筆者手持ちのノートPC(Windows8)でサウンドレベルやイコライザなどはデフォルトのまま、すべてハイレゾ音源で聴いてみる。なお、今回の各楽曲はmoraよりダウンロードしたものである。
ロック/ポップスから、Michael Jacksonのアルバム「Thriller」より、定番「Billie Jean」(FLAC|176.4kHz/24bit)。鮮明かつ豊かな再生音が左右から交差していく。低音は控えめだが物足りないほどではない。ボーカルは極めてクリアで、歯切れのいいサウンドだ。ギターの細やかなカッティングをはじめ、各パートの音もしっかり聴き取れる。
女性ボーカルから、Nora Jonesのアルバム「Come Away With Me」より、代表曲「Don't Know Why」(FLAC|96kHz/24bit)。力強いボーカルが前面に出る印象。普段は聴こえていなかったフレーズの語尾の余韻まで聴き取れる。かといって、ギターやピアノの音も奥にこもることなく自然に鳴っており、非常にバランスの取れたサウンドと言える。
JAZZから、The Dave Brubeck Quartetのアルバム「Time Out」より、CMなどで知られた名曲「Take Five」(FLAC|176.4kHz/24bit)。ハイレゾならではの特長と言えるが、各パートがどんなポジションで演奏しているかまでが伝わる音像感がすごい。管楽器の音色の艶っぽさや正確に刻まれるシンバルの音などがつまびらかに聴こえてくる。
テクノ/エレクトロから、Daft Punkのアルバム「Random Access Memories」より、新たなアンセム「Get Lucky feat. Pharrell Williams」(FLAC|88.2kHz/24bit)。他ジャンルを聴いた限りでは低音は抑えめだったが、この楽曲では割としっかり出る。クリアなボーカルと切れの良いギターのカッティングと相まって、爽快感あるサウンドになる。
一度ハイレゾ音源で聴いてしまうと、同じ楽曲でもこれまでの音で聴けなくなるくらいのインパクトがある。本製品でもジャンルを問わず、それを実感させてくれる解像度に優れた音が楽しめた。試聴時に気付いたことをいくつか挙げておきたい。筆者の手持ちノートPCの性能によるものかもしれないが、PCの音量をMAXにした状態でヘッドホン側のボリュームを上げていく必要があった。そうなると同時に、さりげなくハウジングに付けられているボリュームを調整できるボタンがかなり便利に感じられた。また、音へ没入感があるため、外での使用ではなくホームユースで楽しむのがおすすめだ。
自分の好きなヘッドホンを選び、好みに合うヘッドホンアンプを組み合わせてハイレゾ音源を楽しむ、といった従来のカスタムベースとは方向性が異なる本製品。ハイレゾは気になるけれど設定が難しそうと思っている人や、プレーヤーとヘッドホンアンプを両方つないで持ち歩くのが面倒だと思っていたユーザーに向けた新提案モデルと考えられる。
ヘッドホンアンプやDACまで入っていながらも軽い着け心地で楽しめることや、普通のケーブルを接続してホーム用ヘッドホンとしても使えるなど、単なるオールインワンモデルで終わらない仕様を追求した使い勝手も魅力である。もともと中高域再生を得意とする、同社の大型ヘッドホンの系譜をなぞる高音質サウンドはハイレゾ音源とも好相性。これからハイレゾを始める人も、自宅用としても見逃せない一品である。
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