アプリ課金形式の一極化--「無料ダウンロード+追加課金」モデルを考察

小笠原亮(ドコモ・ドットコム)2014年02月25日 08時00分
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 モバイルビジネスを展開している企業と、コンサルワークなどを通じてお話するケースは多いのだが、サービス利用に対する課金を、どのタイミングで行うのがよいのかといった、課金モデルについての質問を受けることが多い。サービス内容や、アプリ/ウェブサービスといった提供モデルの違いによって、この解はさまざまに存在しているというのが正直なところであるが、今回はアプリ展開における課金トレンドについて改めて考えてみたいと思う。

 「Google Play」や「App Store」といったアプリマーケットにおいては、完全に「無料ダウンロード+追加課金モデル」が主流となっている。アプリを利用していく過程で課金させようとする流れがあっても、ダウンロードおよび基本利用は無料という形は、ユーザーからしても非常に利用しやすいモデルである。ゲームアプリなどを中心にこのモデルは爆発的に広がり、大きな売上を記録するアプリのほとんどが採り入れている。

 一方、ダウンロード時に課金決済をおこなう、いわゆる「有料アプリ」は、無料ダウンロード+追加課金型アプリと比較すると、そのダウンロード数に大きな隔たりがあり、売上で比べても圧倒的な差が存在している。スマートフォンでいきなり「有料」というフローにすることが、今のユーザーにとっていかに大きなハードルになっているかを裏付けている。

 とはいえ、そのような有料アプリ市場においても、大きな売上をあげているコンテンツは当然ながら存在する。ひとつが「ドラゴンクエスト」などに代表される、超有名ゲームタイトルである。古くからのファンが多数存在し、その世界観が浸透しているため、購入金額が数千円であっても、ダウンロード時からお金を払うことに抵抗がないのであろう。アプリを買うというよりも、ゲームを買うという感覚のため、抵抗感が薄いものと思われる。

 もうひとつ大きな売上をあげているのが、パチスロアプリである。これもパチスロホール店における実機を利用するファンが多数存在し、その実機を再現したアプリであれば課金に抵抗がない、というユーザーの存在がその背景にあると思われる。1ダウンロードあたり1000円を超えるパチスロタイトルであっても、ランキング上位に長期間存在するほど大きな売上をあげていることから、有名ゲームタイトルと同様に、ファンであれば課金への抵抗感はそれほど無い様である。

 そのような、初回課金型の有料アプリ市場を支えてきた2つのタイプにおいても、最近ではその課金傾向に変化が表れてきたように感じられる。もちろん、DL時に課金させる方式がまだまだ主流ではあるが、無料ダウンロード+追加課金、いわゆる「F2P」モデルが徐々に広まりつつあるように感じられるのだ。

 パチスロにおけるその代表例が、「DonDel」という無料パチスロプラットフォームに搭載された、「吉宗2013」「押忍!番長2」などの人気パチスロアプリである。これらのアプリはリリース直後からかなりのダウンロード数を記録するなど、注目の動きを見せている。レビューなどを見る限り、有料販売されている実機アプリほどの再現性は無い様にも思われるが、無料で遊べるという切り口は訴求力十分で、比較的ライトなパチスロファンにも受け入れられている模様である。アプリプレイをより幅広く楽しめるようなアイテムに対して課金する仕組みになっているが、今後このようなモデルがより大きく受け入れられるようになると、ダウンロード時に課金するモデルが通例となっていたパチスロアプリジャンルでさえも、無料ダウンロード+追加課金モデルがより拡大していくのではないだろうか。

 超有名ゲームタイトルにおいても、「ドラゴンクエストポータルアプリ」「ドラゴンクエストモンスターズ スーパーライト」など無料ダウンロード+追加課金モデルにて展開するタイトルも出現しており、新たなビジネスモデル展開の可能性を模索している様子がうかがえる。とはいえ、無料ダウンロード+追加課金アプリを楽しむためには、結局課金せざるを得ないというケースが多いのも確かである。またそのような際には、大きな不満が生まれるといった事象も出現している。ユーザー側は、果たしてどちらが本当にお得なのか、しっかりと考える必要があるのではないだろうか。

 無料ダウンロード+追加課金モデルが増えている背景には、無料ダウンロード後に会員登録をさせることで、数多くのユーザーを自社の他アプリへの見込み客として多数抱えておきたいという思惑や、アプリマーケットの審査が厳しく、月額課金をなかなか実施できないといったハードルの存在もあるかと思うが、とはいえなんでも無料ダウンロード+追加課金モデルにしてもよいのかというと、決してそうではないと考える。

 更新頻度の高いサービスであれば、月額課金の方が利用ユーザーにとっても便利であり、不必要な課金を求められることでユーザーの不満が増大するようであれば、完全無料が最適ということもあろう。また、一定期間無料で、その後月額課金に移行するといったお試し型の展開が最適というケースもありうる。当たり前のことではあるが、単に時代の流れに乗るのではなく、サービスにとって最適な課金モデル、適切な価格設定を改めて検討・適応し、その利用価格の適切さをユーザーに対してわかりやすく伝えることが重要ではないかと思われる。加えて、アプリマーケット側にも、サービス提供者側が希望する課金形式をより展開しやすいよう、システムの充実や審査基準の緩和などをぜひ検討していただきたいと考える。

◇ドコモ・ドットコム
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