ソニー平井社長がPC、テレビ事業の変革を説明--「今期の黒字化は困難」

 ソニーは2月6日、同日発表したPC、テレビ事業の変革について、代表執行役社長兼CEOの平井一夫氏が説明した。両事業における今期の黒字化は困難な状況とし、新たな構造改革を決定したという。

  • 代表執行役社長兼CEOの平井一夫氏

 今回の説明会は、2014年3月期第3四半期決算会見の場で実施されたもの。平井氏自ら「今回の変革について説明し、質問に答えたい」という思いから、登壇したという。

 構造改革の柱として挙げられたのはデジタルイメージング、ゲーム、モバイルのコア3事業と成長事業に対して経営資源をシフトし、課題が顕在化しているテレビ、PC事業は速やかに抜本的な変革プランを実行すること、エレクトロニクス事業と関連性の高い販売会社、本社、間接部門、製造部門の一層の効率化と規模の適正化を図ることの2つ。この中のテレビ、PC事業の抜本的な変革プランについて詳細が説明された。

 3月末までに日本産業パートナーズ(JIP)へと事業譲渡されるPC事業については、「ソニーとしては、モバイル領域でスマートフォン、タブレットに集中すべきと判断した。VAIOの継続的サポートと社員の雇用機会を維持するためにJIPへの事業譲渡が最適と判断した」と事業譲渡に至った背景を話した。

 今後は2014年春モデルを最後にソニーにおける、PC製品の企画、設計、開発、販売を収束するとのこと。春以降、VAIOブランドのPCについてはJIPが設立する新会社が手がけていくとしている。

 新会社は、ソニーのPC事業を行なっている長野県安曇野市を拠点とする予定。経営陣は現在VAIO&Mobile事業本部長を務める赤羽良介氏を中心に構成される。「日本でVAIOに携わっているのは約1100人。その内250~300人が新会社に移り、残りの社員はソニーの事業会社も含めて配置転換していく」(平井氏)と、今後について明らかにした。

 平井氏は「常にソニーらしい製品を出していた。PC市場に対し一石を投じてきたブランド」とVAIOを評する。「いかにお客様に効率的に商品を届けるかというオペレーション面でも、先頭を走ってビジネスをし、大きな貢献があった。非常に大きなビジネスになったが苦渋の決断」と今回のPC事業譲渡に対して心境を吐露した。

 一方、テレビ事業に関しては7月をメドに分社化し完全子会社として運営することを発表した。テレビ事業は2011年11月から収益改善プランに取り組んでおり、今期は増収と費用削減により損益改善に大きく寄与。2011年当時1750億円だった赤字は、2012年度は700億円、13年度は約250億円にまで圧縮している。

 ただし、2013年度の目標としていた黒字化は未達の見通し。これに対し平井氏は「2年間の施策により、道筋は見えてきた。12月末時点で4Kモデルは国内において75%以上のシェアを獲得しており、高付加価値化へのシフトは着実に成果が上がっている。分社化することで、効率的なスピーディな事業を目指す」と分社化する意義を話した。

 今後のテレビ事業は、4Kのリーディングポジションを確固たるものにし、2Kモデルまで含めた高付加価値商品の構成比をさらに高めること、新興国市場の地域ごとのニーズに適したモデルを導入することなどを目指していくとのこと。新会社に社長にはホームエンタテインメント&サウンド事業本部長の今村昌志氏が就任予定としている。

 あわせて、2014年度末までに国内で1500人、海外で3500人の計5000人の人員削減も発表。これらの構造改革費用として2013年度に約200億円を追加し、2014年度には約700億円を見込む。これにより2015年度以降の固定費削減効果は、年間1000億円以上とした。

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