Smartheart Japanは1月29日、スマートフォンを介して心電図測定データを送信できる個人用ポータブル心電計「Smartheart(スマートハート)」を2月3日から発売すると発表した。
端末を胸に装着して、Bluetoothを介してスマートフォン(Android/iOS)と接続すると、専用のアプリを介して測定した心電図が見られるというもの。また、心電図の結果をメールで送信できるほか、専用のサービスを介して診断を受けることもできる。
欧州でのCEマークを取得、米国のFDAから承認を受けており、日本でも厚生労働省の医療機器承認に基き、販売の許認可を得ているという。
ターゲットとなるのは、心疾患患者や心臓に不安を抱える人だ。症状が現れたときだけでなく、毎朝・毎晩測るなど習慣化し、コンスタントにチェックすること、24時間365日診断をサポートすることで不安を軽減することを目指す。
アドバイザーとして関わる順天堂大学 医学部 生理学第二講座 専任准教授 医学博士の家崎貴文氏は、「日本人の約30%が心血管系疾患で亡くなっている。日本人にとって重要な死因のひとつ」と話す。
心血管系疾病は、心臓や脳の血管で生じる病気のこと。脳と心臓で別の病気と思われるが、「動脈硬化によって血管が詰まることが起因する共通の病気」と話す。心血管系疾患を診断するには、心電図が大きな判断材料になるという。
心電図といえば、テレビドラマなどに出てくる1つの波形のモニタが浮かぶが、それは単に心臓が動いているかどうかを見るもので、医療関係者が心電図といえば「12誘導心電図」と呼ばれる12誘導(種類)の心電図を指すという。
Smartheartは、ベルトにセンサがついており、巻き付けるだけで個人でもポータブルな病院仕様と同程度の精度の高い心電図がとれるのが特徴だ。測定時間は約30秒。
専用のアプリに随時記録できるほか、オプション料金を支払うと遠隔医療センターサービスが受けられる。アプリを経由して心電図を送信すると、十数分以内に解析結果が得られるというもので、24時間365日待機しているトレーニングを受けた医師と看護師が診断する。
狭心症などにおける血管の攣縮は夜間や早朝に起こりやすい一方で、発作時以外の心電図は正常であることが多く、すぐには判断がつかないこともある。家崎氏は、「精度の高い家庭用ポータブル心電計は有意義」と話す。メールで心電図を送信できる機能は、かかりつけの医師との連携を想定するが、課題もある。
「新しいデバイスなので、医者の中でもほとんどの人が知らない状況。日本のいまの保険医療でどうやっていくかは課題。(診断時に)保険を適用できるのか、何も決まっていないという状況。不整脈や狭心症など、なかなか症状が出たときの記録がとれにくいものも、データを見せてくれたら不整脈、狭心症という判断がつく。ただし、保険医療とどうからめていくかは別問題」とした。
なお、Smartheartは、イスラエルのSHL Telemedicineが開発したもの。遠隔医療の機器・サービスメーカーとして27年の実績があるという。Smartheartは2013年1月からスタートしている。イスラエルでは、心臓発作を発症して最初の1年の死亡率において、Smartheartの利用者の生存率は2.2倍高かったとしている。
端末は、Smartheart Japanのウェブサイトを通じて販売し、価格は10万5000円。女性用、男性用と分かれており、さらにそれぞれS/M/L/XLの4サイズがラインアップする。オプションの遠隔医療センターサービスは月額3150円で、年間3万7800円。
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