米国政府の独立監視機関であるPrivacy and Civil Liberties Oversight Board(PCLOB)は米国時間1月23日、米国家安全保障局(NSA)によるデータ収集活動の正当性と価値を判断するために独自にまとめた238ページの報告書を公開した。報告書を早期に入手していたThe New York Timesによると、PCLOBはNSAによる大量の通話記録の収集に関して、この活動は違法であり中止すべきだと述べているという。しかもPCLOBは、そうしたデータの収集はテロリストとの戦いにおいて「最小限」の価値しかないとしている。
PCLOBの報告書は、NSAの監視活動に異を唱えるものとして、元NSA職員Edward Snowden氏がNSAのデータ収集技術を示す文書をリークして以来の一石を投じることになるだろう。Barack Obama米大統領も先週、NSAの手法に難色を示してデータ大量収集の見直しを命じたが、全ての活動をやめるべきだと発言するには至らなかった。
The New York TimesによるとPCLOBは、データ収集を正当なものとする根拠について特に懸念しているという。PCLOBによれば、NSAの大量の通信記録入手は米国愛国者法第215条をその法的根拠としている。同条項は米連邦捜査局(FBI)に、捜査中の事件と「関連がある」と考えられる記録を入手する権限を明示的に与えるものだ。いかなる通話もFBIが捜査している可能性のある事件に「関連がある」とすれば、NSAはこれを法的根拠にする可能性がある。
しかし、PCLOBは異なる見方を示した。The New York Timesによると、そのような解釈は「(米国憲法の)修正第1条および第4条に照らし、憲法に反する懸念がある」とPCLOBは述べ、通話記録へのアクセス制限や迅速なデータ消去など、いくつかの措置を政府に勧告したという。
興味深いことに、NSAの監視プログラムが違法かどうかについて、PCLOBの5人のメンバーは完全に一致したわけではなく、政党の違いにより意見が分かれたようだ。PCLOBの委員長でClinton政権下の米連邦取引委員会(FTC)の委員長を務めたDavid Medine氏と、Jimmy Carter氏に任命された元連邦裁判官、市民的自由を擁護する委員は監視プログラムを違法としているが、George W. Bush政権で司法省に務めていた弁護士2人はプログラムは合法という見方を示した。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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