Barack Obama米大統領は、論争となっている米国家安全保障局(NSA)の通信記録プログラムについて改革を命じたことを明らかにした。NSAは今後、保管された通話データにアクセスするには裁判所の許可を得ることが必要になる。また、情報自体をNSAが収集および保管することは認められず、その代わりに、発着信した通話に関する情報を含む一括収集されたメタデータは第三者機関が保管することになるという。ただし、その機関は未定だ。
Obama大統領は米国時間1月17日、自身が任命したNSA検討チームの作成した改革案について見解を表明する中で、これらの改革を発表した。この検討チームは、元NSA職員Edward Snowden氏による内部告発に端を発する市民の自由と国家安全保障に関する論争に対応して設置されたもので、米政府がデータを乱用する危険を防ぐ手段として、裁判所命令や第三者機関の活用といった対策を提言していた。
「指導者たちが『われわれを信用してほしい。収集したデータを悪用することはない』と言うだけでは不十分だ」と、Obama大統領は会見で述べた。「なぜなら、過去にこうした信頼が裏切られた例があまりにも多くあるからだ。われわれが政府の組織を構築するにあたって前提となるのは、市民の自由が権力者たちの善意に依存するものであってはならないということだ。市民の自由は権力者を制限する法律に依拠している」
Obama大統領は司法長官と複数の情報機関に対し、米国愛国者法第215条に基づくメタデータプログラムについて、第三者機関を活用する実行可能な解決方法を3月末までに策定するよう求めている。また、この改革には法律の制定が必要となる可能性があることから、議会からの提案も求めるとしている。
さらにObama大統領は、米国に近い同盟国の首脳に対する諜報活動をやめ、NSAによる監視活動において外国人のプライバシーをさらに保護すると述べた。また、プライバシー保護のための公的な委員会を設置し、政府の立場だけでなくプライバシーに関する懸念も外国情報活動監視裁判所に対して訴えられるようにするという。
一方でObama大統領は、国家安全保障書簡(法執行機関が企業に顧客データの提供を求める際に使用される行政召喚状)の発行には裁判所命令を要件とする、という検討チームの提案を採用していない。ただし、同書簡による要請についてさらに透明性を高めることができるようにし、企業が顧客に対し、自社が受けた要請に関してより詳しい情報を提供することを認めると述べた。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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