Intelは米国時間1月21日、同社のテレビ事業を通信大手のVerizon Communicationsに売却することで合意したと発表した。売却金額は非公表となっている。これによってVerizonは、放送中のテレビ番組をインターネット経由で配信するための市場において優位性を得ることになる。
今回の合意は、テレビ放送やケーブルテレビ技術よりもインターネットを介して配信される動画コンテンツの重要性が高まっていることを浮き彫りにしている。Verizonは、同社の家庭向け光ファイバブロードバンドサービス「Fios」と4G無線ネットワークサービス上で動画を配信するため、Intel Mediaの技術を利用する計画である。
Verizonの会長兼最高経営責任者(CEO)を務めるLowell McAdam氏は、「『OnCue』のプラットフォームとチームによってVerizonは、いつでもどこでも好きな方法でコンテンツを視聴したいとますます望むユーザーに対し、次世代動画サービスを提供することができるだろう」と声明で述べた。「Verizonは、固定と無線の両方の配信ネットワークにおける広範な動画コンテンツ関係、そして、家庭とモバイルの両方における顧客関係を既に構築している。今回の買収によってわれわれは、将来の成長とイノベーションに向けた強力で非常に効率的なエンジンを構築する能力を得る」(McAdam氏)
両社は、VerizonがIntel Mediaの資産にいくら支払ったのかを明らかにしなかったが、これまでの報道では、買収金額は2~5億ドルとされていた。また業界情報筋らは、Intelのテレビ事業の価値を約3億ドルと見積もっていた。一方Bloombergは、Verizonが同テレビサービス買収に支払った金額は2億ドル未満だと述べている。
BBCの元幹部であるErik Huggers氏が統括するIntel Mediaは、放送中のテレビ番組、最近放映されたコンテンツ、オンデマンド番組などのコンテンツを家庭や携帯端末上で視聴可能にするためのハードウェアとソフトウェアの構築に2年間を費やしてきた。OnCueと名付けられたサブスクリプションサービスは、オーバーザトップ(Over The Top:OTT)として知られるブロードバンドインターネット接続経由の番組配信を予定していた。Intelは、同サービスを2013年末までに提供開始すると約束していた。
Intelはその約束を果たす一歩手前まできていた。製品を構築し、マーケティング計画を策定し、大手コンテンツ企業と契約する直前という段階になって、Intelの新CEOであるBrian Krzanich氏は、同社の中核であるチップ事業への取り組みに再度焦点を合わせるという決断を下した。2013年5月にCEOに就任したKrzanich氏は、Intel Mediaがテレビサービスに関するパートナーを見つけることを望んだ。そしてまもなく、探す相手は、売却先へと変わった。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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