デバイスの垣根を超えて広がるゲーム市場--「パズドラZ」好調の意義

明石竹史(ドコモ・ドットコム)2014年01月21日 14時49分
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 12月20日、ガンホー・オンライン・エンターテイメントからニンテンドー3DS LL/3DS専用ソフト「パズドラZ」の国内出荷本数が累計100万本を突破したと発表された。ご存知の方も多いと思うが、「パズドラZ」とはスマートフォンで大人気のパズルRPG「パズル&ドラゴンズ」のコンシューマー移植作であり、12月12日の発売以降わずか9日間で100万本を達成したことになる。

 「パズル&ドラゴンズ」自体がスマートフォンで2300万ダウンロード(2013年1月現在)を達成していることから考えると、100万本という本数はそれ程多くはない印象を受けるが、2013年のコンシューマーゲーム販売本数年間ランキング(出典元:「ファミ通.com」)で見ると6位に相当する。1位の「ポケットモンスターX・Y」(任天堂)や2位の「モンスターハンター4」(カプコン)といったタイトルには及ばないものの、5位に入った「ドラゴンクエストⅦ エデンの戦士たち」(スクウェア・エニックス)や7位の「ルイージマンション2」(任天堂)といったファミリーコンピュータ時代から知名度の高いゲームと遜色のない販売本数を、しかも短期間で記録したことは驚嘆に値する。

 今回の「パズドラZ」については、コンシューマーゲームのプレイヤーに受け入れられるのかを疑問に感じた人は多いのではないだろうか。スマートフォンに基本プレイ無料で提供されているゲームを4400円(パッケージ版)も払って購入するのか、またスペックの高いコンシューマーゲームに慣れたプレイヤーからすると、スマートフォン用ゲームに物足りなさを感じるのではないかといった点が懸念されていたように思う。

 しかし、結果は上記のとおりである。スマートフォンで「パズル&ドラゴンズ」をプレイしたことのあるユーザーではなく、スマートフォンを持っていない子供層にターゲットを定めた戦略や、ストーリーも含めたRPG要素の強化、ニンテンドー3DSの通信機能を活かしたプレイヤー同士のモンスタートレード機能の追加、また親が安心して子供にプレイさせられるようアイテム課金機能をなくすなどといったコンシューマーゲーム用のチューニングが成功の要因として挙げられるが、今回の「パズドラZ」の事例は、スマートフォン用ゲームがコンシューマーゲームとしても十分通用することを証明した。

 フィーチャーフォンの時代にもフィーチャーフォン用ゲームがコンシューマーゲーム機に移植された例はいくつか存在したが、これ程の販売本数を記録したゲームは存在しないであろう。ゲーム専用機とフィーチャーフォンのスペック差や、フィーチャーフォンの方が手軽、安価にプレイできるという理由からコンシューマーゲーム版の購入をためらっていたユーザーも多いのではないだろうか。従来の携帯電話用ゲームに対する既成概念を打ち破り、スマートフォン用ゲームがコンシューマーゲームとしても十分通用することを証明したという点で、今回の「パズドラ Z」の成功はゲーム業界にとって画期的な事件と言うことができる。

 今までは、コンシューマーゲームをスマートフォンへ移植するという一方通行な流れが主流であったが、今回の「パズドラZ」の成功により、スマートフォン用ゲームをコンシューマーゲーム機に移植する流れが加速するのは確実であろう。スマートフォン用ゲームとコンシューマーゲームの垣根が低くなった結果、ゲーム開発会社は、コンシューマーゲームでの販売を視野に入れたスマートフォン向けゲーム開発を今後進めることが可能になり、スマートフォンに閉じていたゲーム市場がコンシューマーゲーム市場まで拡大することが予想される。

 さらに、PC、タブレットも含めたマルチデバイスでのゲーム提供といった展開も加速する流れも考えられ(スクウェア・エニックス社の「ドラゴンクエストⅩ」など)、デバイスの垣根を超えてますます広がりつつあるゲーム市場について、今後も目が離せない展開が続きそうだ。

◇ドコモ・ドットコム
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