2014年の展望

5億ユーザー見据えるLINE、2014年は「破壊と創造」 - (page 2)

舛田氏 : 以前からお話していますが、私たちが目指しているのはスマートフォンサービスのゲートウェイになることです。私たちがいろいろなものの間に入ることで、よりよいユーザー体験を与えたいと考えているので、やはりスマートフォンではナンバーワンを目指していきたいと思っています。

――現在は、ゲーム事業が収益の柱となっていますが、ECを始めサービスの多様化によって、ここにも変化が現れるのでしょうか。

森川氏 : 私たちは特に収益の比率を計算してサービスを展開しているわけではありません。やはり国によって合うビジネスモデルも変わってくると思いますので、いまはビジネスモデルのショーケースを充実させながら、各国のローカライズも深めていくことが重要なのかなと思います。

――デジタルコンテンツ以外では、キャラクターグッズの販売もかなり調子がいいようですね。

舛田氏 : もともとはノベルティの感覚で作ったのですが、いまではグッズの販売もかなりの流通額になりました。また、アニメやマンガにもなりましたが、スマートフォン発のキャラクターで既存メディアにも進出していく例はこれまでなかったと思います。ここは非常に面白い領域だと思っていて、今後も海外展開をしたり、LINEゲームのキャラクターのグッズ化なども進めていきたいですね。

 ただし、私たちにとって一番大切なことはLINEやその周辺サービスを使っていただくことですので、ここで売り上げがどうこうという考えは持っていません。たとえば、スマートフォンを持っていないけれど、キャラクターからLINEに入るという方もいると思います。どのような方法でもいいのですが、最終的にLINEを使ってもらえる環境を世界でどうやって整えていくかが重要で、そのための役割としてグッズ展開というのは非常に大切だと思っています。

――急成長する一方で、2013年はLINEに関わるさまざまな未成年の事件も問題になりました。

舛田氏 : 未成年ユーザーへの対策は日々進めているところです。各通信キャリアと連携したユーザーIDの検索制限も、ようやくAndroidとiOSで開始することができました。Twitterなどで反応を見ていると、「何でそんなことをするんだ」という声をたくさん聞きますが、それは私たちがやるべきことで、私たちだからできることだと思います。

 また、サービス内にもユーザーを守る方法はいろいろと用意しているのですが、それが上手く伝わっていないケースが多々あります。そこに対しては、草の根的ではありますが、全国の学校や施設を100箇所以上回って、PTAや教職員の皆さんに、安全な使い方などを啓蒙させていただいています。2014年はこれをもう少し広げていきたいと思っていて、たとえば教材を作って配布することも考えています。皆さんにお会いすると、「LINEが便利なのは分かっている」と必ず言って下さるのですが、「その分、子どもたちが使うのは少し不安だ」とも言われます。我々はその少しの不安を取り除くために、できることを最大限やっていきたいですね。

――2013年をひと言で表すならどのような年でしたか。

森川氏 : ホップ・ステップ・ジャンプでいうと、2013年はステップです。まだまだこれからというところですね。ただ私たちの成長というのは、結局スマートフォンの成長だと思うんです。スマートフォンが登場して6年以上経って、PCサービスの多くがスマートフォンに対応しましたが、まだまだスマートフォンネイティブなものは少ないと思います。その中で、私たちは一応先行しているものの、やりきれていないこともたくさんあって、ようやくこれから大きく羽ばたける入り口に来たのかなと思います。2014年以降はジャンプの年にしたいですね。

――しかし、3億ユーザーを達成して「LINEはもう成功した企業だよね」と感じている人もいると思います。2014年もまた私たちを驚かせてくれるのでしょうか。

舛田氏 : 皆さんがLINEに期待していることは、やはり何かに挑戦していたり、新しいことを起こしてくれる“ワクワク感”だと思うんです。それは私たち自身も十分理解していますし、そうありたいと思っています。ただ、このワクワクを継続していくためには、自分たちの過去を否定していかなければいけないと思うんです。

 やはりサービス開始から2年が経って3年目に入り、「LINEとはこういうものだ」ということが固まり始めていることは確かです。ただ、これすらも否定していかなければ次の成長はないと思っていますので、そこはある意味で破壊をしながら創造をしていくということですね。各プロジェクトのチーム対しても「この箱の中でやってくれ」なんて指示はしていませんし、「今までのことはゼロにして考えていい」とよく言っています。

 いつも話していますが、私たちはいつ消えてなくなってもおかしくない存在だと思っています。それはインターネットの歴史をみてもそうですが、私たちが安定を求めてあぐらをかいてしまえば、きっと市場からはすぐにいらないと言われてしまう。外から見たら3億ユーザーもいるのに、何でこんなに切迫感を持ってサービスを回し続けているのかと疑問に思われるかもしれません。

 それは私たちがもともとlivedoorやNAVERなど、いろいろなサービスを経験してきたメンバーの集まりで、そのことを重々理解しているからです。上手くいった時もあれば、そうじゃない時もある。そのバイオリズムの中で、ユーザーにワクワク感を与えながら成功していくためには、私たち自身がチャレンジを続けなければいけないですし、ワクワクしていないといけません。これはもうすべての原動力ですよね。

森川氏 : 正直、絶対に驚かせますとは言えませんが、私たち自身も毎年驚いているので、恐らく2014年も世の中をびっくりさせるようなことが起こるんじゃないかと思います。また、日本の中だけを見るとLINEは成功しているように見えるかもしれませんが、米国などではまだまだ小さな扱いですし、グローバルでの成功という意味ではこれからなのなかと思います。

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