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共感を得るのが重要--CMOアワード受賞者に見るマーケティングの難しさ - (page 3)

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的確な分析、ターゲティングを実施したリンナイ

 リンナイの福本氏は、同社の直販サイトを作り上げ、顧客分析の技術を活用して大きな成果を上げているとして表彰された。リンナイはコンロなどの厨房機器メーカーとして有名だが、売り上げの50%は給湯・熱機器が占めている。「“熱”を通じて“快適な暮らし”を社会に提供していく」を合い言葉に事業展開し、インターネット上では2006年からコンロの交換部品などを販売するECサイト「R.STYLE(リンナイスタイル)」を運営している。


リンナイ eビジネス推進室 室長の福本啓史氏

 ただ「交換部品だけを売っていてもビジネスとして成り立たない」ことから、コンロ製品のオプションやコンロ専用の掃除用品のほか、リンナイ製品とマッチングする調理用品も販売。2006年にECサイトを開始して以来、2013年まで順調に右肩上がりで売り上げを伸ばしている状況で、2013年度は交換部品購入におけるECサイト利用率が年間を通じて20%を初めて超える。

 しかしながら、同社としては「部品販売することが主要な目的ではなく、顧客との接点を作って次にまたリンナイ製品を選んでいただく関係作り」に重点を置いているという。この“関係作り”のために、同社はシナジーマーケティングのクラウド型マーケティングツール「インサイトボックス」を利用してきた。

 同社では製品ユーザーとの良好な関係を築くために、ユーザーに対してメールを配信しているが、ユーザーが望まない内容のメールや大量のメールを送ってしまうと逆効果になることから、「一人ひとりのお客様に合ったメールを送ることが重要」。そこで、同社はインサイトボックスを使い、シナジーマーケティングと約4年間にわたって共同で顧客行動を分析してきた。

 その分析をもとに、ECサイトの会員データ、注文データ、商品データ、クリック履歴と、販売したい商品の情報をインサイトボックスに入れることで、その商品に反応しそうな対象顧客を会員データから抽出できる仕組みを作り上げた。

 これにより、たとえば1万人ほど抽出されたターゲットと、それ以外の8万人の顧客とでメール配信した時の反応を比較すると、ターゲットのメール開封率は非ターゲットの3.7倍、クリック率が2.4倍、購入につながった率は12.6倍という効果を得られ、メールの解除率も63%低い結果になったという。こういったメール配信は2012年7月~2013年6月に18回行い、それ以前のメール開封率の平均10.9%を軒並み上回る成果を上げている。


 同氏によれば、行動履歴からの分析だけでなく、日本人の行動パターンを12の価値観に分類する“価値観分析”も行った。あらかじめ顧客にアンケートに答えてもらった結果から“受け身な隠者タイプ”“家庭的な真面目タイプ”“好奇心旺盛な人生謳歌タイプ”などに分類したところ、ECサイトの利用者は“家庭的な真面目タイプ”で、信頼や安心感を重視する人が多いことがわかった。

 さらに、同社が販売した「DELICIA」というコンロ製品のユーザーについては“社交的な堅実ホームワーカータイプ”ということも明らかになった。商品によってユーザーの価値観が異なっていることから、それぞれのユーザーに合ったコミュニケーションの方法を模索しているところだという。

“共感”を得る活動が重要になる

 最後に、ゲッティイメージズの島本氏からは、現在のビジュアルにおける検索トレンドについてヒントを示した。同社ではストックフォトの検索によく使われるキーワードや、検索結果がゼロ件だったキーワードを日々分析しているが、最近は一般の人が撮影したスナップ写真的な自然に見えるものを求めるユーザーが多く、特に「Flickr」から一般ユーザーが投稿した写真がよく売れているという。

 その理由として同氏は、FacebookなどのSNSでスナップ写真的なものを目にする機会が多くなっており、それらの写真は自分が信頼している友人からのものであることから、「スナップ写真のようなものは非常に共感が得られやすい」と考えている。

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