スマホの“体験”をシニアにも--ドコモのらくらくスマホ戦略 - (page 2)

シーンや体験でスマホの魅力を訴求

 簡単で使いやすい機能やサービス、サポート体制を充実させるなどして、シニア層に向けた取り組みを進めてきたドコモ。この成果もあり、らくらくホンから機種変更するユーザーを中心に順調に販売台数は伸びているという。しかし、現在のユーザーの多くはスマートフォンなど新しい機器に興味を持っている“アクティブシニア”層だ。「今後はより多くのシニアの方にスマートデバイスの魅力を知っていただきたい。そのためには、使いやすさや安心感というものに加えて、スマホで何が変わるのかを伝えていかなければいけない」(原田氏)。

 ただし、日常的にPCや携帯電話を利用している若い世代とシニア層では、スマートフォンを使う目的や利用シーンが少々異なる。ドコモ・ドットコムの調査によれば、シニア層はメールや通話、ウェブサイトの閲覧といった基本機能に加えて、電卓やカレンダー、地図、災害時用サービスなど生活に密着した機能をよく利用している。一方でゲームや動画、音楽といったエンタメ系機能や、EC関連の利用はそれほど多くない。つまり、最新のデジタルコンテンツを揃えるだけでは、あえてスマートフォンに機種変更する動機にはなりにくいのだ。「シニアの方々の評価は厳しく、納得してもらえないと購入していただけない。やはり興味のある分野でスマホやタブレットの良さを知っていもらうことが重要」(原田氏)。

 そこで、ドコモではサービスやコンテンツを訴求するだけでなく、日々の生活における利用シーンを実際に“体験”してもらうことで、端末やサービスの魅力を伝える取り組みを始めた。JR東日本と連携し、シニア向け会員組織「大人の休日倶楽部」の会員を対象に“旅”をテーマにしたスマートフォン講座を開催したのだ。大人の休日倶楽部では、講座やサークルなどに参加できる「趣味の会」を展開しており、会員からもスマートフォン講座を開いてほしいという要望が寄せられていたことから開催に至ったのだという。

 9~10月に実施された第1弾のスマートフォン講座には、これまでスマートフォンを使ったことがないという60~80代の約20人が参加。らくらくスマホで観光スポットの情報収集をしながらツアーの計画書を作ったり、旅先での地図の使い方や写真の撮り方などを体験した。また音声ガイド機能である「しゃべってコンシェル」を使って、観光地に関する問題を埋めていくクイズ企画なども用意したところ予想以上の盛り上がりを見せたという。会場にはらくらくスマホとケーブルで直接つなぐだけで印刷できるプリンタも設置された。スマートフォンで写真を撮ると、つい端末内に保存したままになりがちだが、多くの参加者が「思い出を写真で残したい」「年賀状に使いたい」と積極的に利用していたそうだ。


“旅”をテーマにしたスマートフォン講座の様子。参加者が質問しやすいよう、ドコモのOB社員が説明員を務めた

 スマートフォン講座の終了後に優待クーポンや自宅の近隣の店舗を案内したこともあり、参加者の数名がフィーチャーフォンからスマートフォンへ買い換えた。中にはフィーチャーフォンは使いつつ、新たにタブレットを購入したという参加者もいたという。すでに1月に第2弾の開催も決まっており、次回は開催地や募集人数も増やす予定だという。

 試験的な取り組みではあったが期待以上の効果が得られたことから、ドコモでは引き続きこうした体験や利用シーンを提案することで、シニア層の顧客を拡大していきたい考えだ。原田氏は「スマホが日々の生活や趣味に生かせることを伝えていきたい。そのひとつの要素が旅行だった。今後もシニアの方々の興味があることに寄り添いながら、JR東日本のように強いコミュニティを持っている企業との取り組みを進めていきたい」と意気込んだ。

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