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スマホ学習で内定者を即戦力化--研修に革新起こすトーマツ

藤井涼 (編集部)2013年12月05日 11時42分
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 スマートフォンの普及や通信技術の発展によって、ITは音楽や映像などのデジタルコンテンツを楽しむためのものから、より多くの消費者の生活を便利に、そして豊かにするツールとして進化を遂げつつある。この連載では企業のウェブでの取り組みを通じて、それぞれの領域におけるテクノロジの持つ可能性について考える。

 今回のテーマは“教育”。一昔前までは対面が当たり前だった教育の形は、ネットやスマートフォンの普及によって大きく変わろうとしている。特に最近注目を集めているのが「反転学習」。従来の説明型の授業をオンライン教材化して自宅などで予習し、逆に教室ではこれまで宿題とされていた応用課題を対話的に学ぶことで、学習効果を高める授業形態のことだ。日本ではNTTドコモと東京大学が10月から共同研究を開始している。

  • 「モバイルナレッジ for freshers」

 中堅・中小企業専門の経営コンサルティング会社で、研修をはじめとする社員教育事業を手がけるトーマツイノベーションは、この反転学習を取り入れた新たな研修サービスを2014年1月から提供する。その名も「モバイルナレッジ for freshers」。スマートフォンでの学習メニューとリアルの研修を組み合わせることで、企業内定者の“学びを日常化”し、入社後の即戦力化を支援するものだ。10月から企業への販売を開始しており、価格はモバイルラーニングのみが1人あたり1万2000円、モバイルラーニングとリアルの研修のセットが1人あたり5万円となる。どちらも月額ではなく買い切りだ。

新入社員の即戦力化には時間がかかる

 対面での研修を強みとしてきたトーマツイノベーションが、なぜモバイルを活用した研修サービスを提供することにしたのか。それは、現代の内定者や新入社員を取り巻く教育環境に起因している。

 同社によれば、初・中等教育時期のゆとり教育や核家族化にともなう家庭教育の不足、単位取得を優先した大学教育などによって、ビジネスマナー以前に社会人としての一般常識が欠けていたり、いつまでも学生気分が抜けない新入社員が従来よりも増えているのが、多くの企業の悩みの種になっているという。そのため「時間を厳守する」といった、社会人になるまでに身につけておくべき基礎教育まで、企業側で補完しなければならない状況になっている。

 しかし、長期間の研修が可能な大企業ならまだしも、社員が数十人規模の中小企業となると、新入社員に十分な教育ができない企業も少なくない。また、仮に教育ができたとしても、そこで学んだはずの知識を新入社員が配属後に生かせず、再教育が必要になるなど上司や先輩社員の負担になってしまうケースもあるという。

モバイルナレッジで“知っている”を“できる”に

 この問題の解決策としてトーマツイノベーションが開発したのが、内定者教育サービスであるモバイルナレッジだ。これまで多くの企業が有効活用できていなかった内定の期間中に、スマートフォンアプリを使ってビジネスの基礎知識を学んだり、社会人としての意識を醸成する。そして、入社後の研修ではこれらの知識を前提に、実践トレーニングを中心とした反転学習型の教育をすることで、現場配属時には即戦力として業務に臨めるようにするサービスだ。

  • 従来の内定者・新入社員教育との違い

 新入社員は自身のスマートフォンにモバイルナレッジのアプリをダウンロードし、企業から割り当てられたIDでログインする。アプリには移動中などすきま時間に効率的に学習できるように、1回3分程度で学べるコンテンツがプッシュ通知で自動配信される。その内容もビジネスマナーだけでなく、顧客志向や体調管理といった基本習慣から、個人情報保護や法令遵守などのコンプライアンスにいたるまで幅広く、実に120種類を超える。

 アプリには、楽しみながら継続的に学べるよう“ゲーミフィケーション”要素が随所に盛り込まれている。たとえば、学習コンテンツはクイズ形式で提供し、その解答にもあえて画像や短文のテキストを織り交ぜることで、まるでブログを読んでいるような感覚で気軽に学習できるようになっている。また、マイページでは内定者ごとに学習の進捗状況にあわせてランクアップする「称号」が表示されるほか、学習の進行具合を同期と競い合える「ランキング」や、学んだ内容に対して意見交換ができる「タイムライン」といったソーシャル機能も充実している。なお、企業は管理機能を使って内定者ごとの進捗状況を確認することが可能だ。

 内定者はこのアプリを使って1~4月まで社会人としての基礎知識を学ぶ。そして入社後の対面の研修で、名刺交換や仕事の受け方、電話応対など、より実践的なトレーニングを実施し、スマートフォンで学んだ知識を“知っている”から“できる”に変えていくという。

  • 問題はクイズ形式。1回3分程度で学習できる

  • 理解しやすさにこだわった解答

  • ランキング機能を使って同期と競い合える

新入社員に最適な学習ツールは「スマホ」

 ところで、新入社員は本当にスマートフォンを使って学習するのだろうか。モバイルナレッジの統括責任者であるトーマツイノベーション事業開発本部長の濱野智成氏は、過去に他社の内定者300人に対して調査を実施したところ、そのうちの9割以上がスマートフォン所有者だったとするデータを紹介。また、30代のテスターはモバイルナレッジの操作に戸惑う一面も見られたが、「内定者は迷うことなくサクサク遊んでいた」(濱野氏)ことから、“デジタルネイティブ”である若年層とスマートフォンの相性は良いと見ている。

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