米国家安全保障局(NSA)が、イスラム「急進派」に属する6名について、偽善的な行為を指摘してこれらの人物の権威を失墜させる目的で、オンラインにおけるポルノ閲覧の履歴や金銭上の不正行為を監視し、暴いていたと、新たな報道が伝えている。
The Huffington Postが米国時間11月26日に報じた記事では、「急進派に属する者は、公私の行動が一貫していない場合、権威という面で特に弱体化しやすいようだ」という、2012年10月3日付のNSA報告書の文面を引用している。この報告書は、NSAの元契約社員Edward Snowden氏のリークにより公開されたものだ。
報告書によると、そのような弱点には、個人的な支出への寄付の流用、法外な講演料の請求のほか、「性的に露骨な素材をオンラインで見ることや、未熟な少女と交流する際に性的に露骨な表現で相手をそそそのかすこと」などがあるという。
「こうした弱点がもしあらわになれば、急進派に属する者の聖戦(ジハード)という大義への献身が疑問視され、権威の低下や喪失につながるかもしれない」と報告書にはある。
政府はこうした監視の存在を否定しなかった。国家情報長官室の広報主任であるShawn Turner氏は、The Huffington Post宛ての声明で次のように語った。
特定の個人を対象とすることなく、我が国に被害をもたらし、他人を暴力的な急進派にしようと活動している、標的となるテロリストの取り組みを妨げるため、米国政府が利用可能なあらゆる合法的手段を用いることは、驚くにはあたらないはずだ。
しかしながら、こうした電子的監視は、NSAがオンラインのデータ収集権限を乱用するのではないかと懸念している人々の間に不安を広げている。NSAは1960年代と1970年代に、Martin Luther King Jr.氏、上院議員2名、Muhammad Ali氏、さらにはThe New York TimesとThe Washington Postの複数のジャーナリストをスパイしていた。
米国自由人権協会(ACLU)の法務次長を務めるJameel Jaffer氏は、11月27日付の声明で次のように述べている。「この報告書は、個人の最も慎重を期するべき情報への自由なアクセスを情報機関に与えることが何を意味するかを、ありがたくない形で思い知らせるものだ。このような戦術は一般的に、独裁主義政権における秘密警察の業務を連想させる。これらの戦術が、世界をリードする民主主義国、そして世界で最強の情報機関によって採用されているとは、まさに背筋も凍るような話だ」
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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