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稲船敬二氏と吉田修平氏が語ったPS4やクラウドファンディングの取り組み - (page 2)

佐藤和也 (編集部)2013年11月26日 17時33分
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クオリティが高くなってきているインディーズゲーム

吉田修平氏
吉田修平氏

 話題はインディーズゲームにも及んだ。最近は日本でも注目を集め始めている状態で、吉田氏も自ら大好きと語り、大量にチェックしているという。「ジャンル分けができないような作品も出ていて、初代プレイステーションのときにゲーム業界ではないクリエイターが、発想の斬新さを生かした新しいゲームを作り出していたのを思い出します」(吉田氏)。作り手の意思が細かいところにまで通ってる作家性や考え方がわかる、パーソナルな部分が伝わってくるのが楽しいという。

 この状況は回帰的なもののようにも映るが、吉田氏は「むしろ今の世の中の流れがそうなっている」と語る。現在はデジタルおよびネットワークインフラの発達により、ゲームを作ることさえできれば、全世界に向けて配信を行うことができる時代。昔は趣味的なものであったが今はビジネスとして成立するようになり、若くて学生上がりという人たちだけではなく、経験が豊富なクリエイターが独立して、自ら好きなゲームを作るようになった。その結果、インディーズゲームのクオリティがものすごく高くなっていると吉田氏は説明した。

 続けて吉田氏は、SCEを含めて大手メーカーとなるとコンシューマゲームは投資金額も大きいため、ある程度手堅いジャンルやシリーズものになってしまう一方で、逆にインディーズゲームは大手がやらないようなジャンルや内容で勝負してくる。そういった大手では取り組めない面白いゲームをサポートしていきたいとしている。日本ではセルフパブリッシングするにあたりさまざまな障壁があるが、それを取り除いていけるように取り組んでいく考えを示した。

日本でシリーズ続編ばかりリリースされる理由

 インディーズゲームの話題から、日本では定番ジャンルや人気タイトルの続編といったブランドのほうが注目される傾向があることに黒川氏が触れた。その状況は吉田氏が語っていたように、手堅い企画を企業側が求めてしまうことのほかにも、稲船氏は、世界に比べて日本は保守的であったり、多数のユーザーがいいと言ったものやブランドがあるものに行きやすいと同意した。「自分で判断することに慣れていないからだと思います。誰かが判断したもの、あるいはどこの会社が作ったもの、というものの見方が強く“誰が作ったか”があまり見られないんです」と稲船氏は要因を語った。一方で海外では、会社よりも誰が作ったかが重視され、面白いゲームを作ったクリエイターであれば「あの人が作っているから買う」という状況になるという。稲船氏は、日本でもそういう流れになってほしいと思っているようだ。

 吉田氏は文化の違いについても言及。海外では自ら新しいことを立ち上げることが評価され、チャレンジして失敗しても若いのでやり直せる状況がある。一方で日本では大手企業に入り、長く堅実に成果を挙げることが評価されるため、新しいチャレンジをするのが難しくなっていると推察する。稲船氏は、仮にヒット作を出した場合、海外のクリエイターはその実績をもとに全く新しい作品作りを求め、その企画を通すことが多いという。稲船氏自身がかつて「ロックマン」シリーズを手がけながら「鬼武者」や「デッドライジング」などの新作を立ち上げたことを振り返り、「成功した実績や価値はもっと多様性のあるもの。それを続編作りだけではなく、交渉をして新作のような次にやりたいことを求めてもいいのではないか」と説いた。

稲船敬二氏
稲船敬二氏

 お互いが本音で語るタイプであるという2人が、開発者の姿勢についても話題にした。吉田氏は提出された企画に対して「何が面白いの?」と質問することもあるが、決して切り捨てているのではなく、何が面白いかを明確に説明してほしいということだという。それに対して稲船氏は「それはテストで、言い返してみろいう意思表示。なかなか言い返せないけど、本当に面白いゲームを作っている自負があるなら絶対に言える」と同調。ストレートに本音で勝負できることはすごく大事なことであり、大変なことが多いゲーム作りに対しては、強い思いを持って取り組まないと任せられず、本音で戦う姿勢を持たないとスタッフやプロモーション担当などの周りの人間、ひいてはユーザーにもそっぽを向かれると説いた。

 それぞれの今後について、稲船氏は「Mighty No.9」について支援者の多さからプレッシャーがかかっているのではと黒川氏が問うと「早く作りたい気持ちはありますが、追い立てられているという感覚ではない」と回答。なによりも大事なのは支援者の満足度であるとし「支援者の7万人が100点と言ってくれる作品を作れれば合格」(稲船氏)という。たとえば稲船氏自身も関わっている「ソウル・サクリファイス」のようなパブリッシャーを組んでいるタイトルだと、不特定多数に向けて制作する手探りがあって難しいが、「Mighty No.9」は支援者という明確なターゲットがあるため、非常に気が楽だと語った。とはいえ「7万人だけに売れるゲームはしたくない」というように、さらにほかのユーザーたちにも満足できるようなものを作っていくと意気込みを見せた。

 吉田氏は日本でのPS4発売に向けて「準備万端です。日本のタイトルも海外の人気タイトルもそろっているので、非常にいい感じでのタイトルラインアップでスタートできるかなと思います」と、こちらも自信を見せていた。

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