現在では立場が正反対になり、ベンチャーに投資する側となったRose氏、トレンドについても見解を披露した。Twitter、Fab、Foursquareなどコンシューマー系サービスに投資してきたRose氏だが、この分野については「(実は)マス市場のコンシューマーインターネット分野では大きなイノベーションは起きていない」と言う。
次々と新しいサービスが登場しているが、あるパターンがあるようだ。たとえばFacebookのオファーを断ったことでメディアの見出しを飾ったSnapchat。当初高校生や大学生という一部のオーディエンスで人気が出て、それがマスに拡大しつつある。つまり、何かしらのアーリーアダプターをいかにして惹き付けて話題になるか、が大切になっているようだ。「フォーカスは成長を加速する一部のオーディエンスにある」とRose氏は述べる。
分野としては、出会い系、写真などのイメージコレクションとキュレーション、ソーシャルグラフや興味グラフなどのグラフ系などに集中しているという。あるサービスが抜きん出ると、クローンが繁殖するトレンドも指摘した。まずは地域的なクローン。ある地区で火がつくと、米国で、欧州で、アジアで、と地域毎に同じようなサービスが生まれているという。また、コンシューマーとエンタープライズなど分野を変えたクローンもあるようだ。だが、Twitterの人気が出た後に、エンタープライズを狙ったYammerが登場した例を除くと、クローンはそれほど成功していないという。「ファーストムーバーアドバンテージを超えて成功した例はほとんどない」とRose氏は言う。
シリコンバレーはちょっとしたバブルが続いているが、実際、投資を得ることはそれほど難しくないようだ。Rose氏によると、最初の段階はちょっとしたコネがあれば比較的簡単に投資を得られるという。だが、そこから先は簡単ではない。「5~6人のチームで、長くて18カ月ぐらいでモノをつくらなければならない。やり直しができるのは2、3回ぐらい。そして投資家に見せることになるが、魅力的なものはほとんどない」と言う。敷居が低いからこそ、時間をかけてきちんと作るサービスが強い、とRose氏はみる。
その例がPinterestやYelpだ。ともに数年かけてじっくりとサービスを構築し、起爆したパターンだ。「リーンなチームが成功することが多い。(なにがうまくいくのか、どんなサービスがよいのかなど)物事を見極めるのには時間がかかる」「チームをリーンな状態で保ち、製品をクリーンにして、意味のない機能は盛り込まない」と成功したベンチャーのいくつかに共通している特徴を挙げた。特にローカル情報サービスのYelpは、信頼関係の構築に時間をかけており、これが成功の土台となっているという。
「物事は時間がかかるものだ。リーンなチームで時間をかけてサービスを構築しているベンチャーが好きだ」とRose氏は述べた。
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