日本上陸から約2年、Huluが築いたシンプルでわかりやすいVOD--日本代表マリーニ氏に聞く - (page 2)

月額980円は「払っている意識」を感じさせる価格設定

--月額の視聴料は現在の市場に合っていると思われますか。

 Huluでは、1480円だった月額視聴料を2012年4月に現在の980円へ引き下げました。引き下げた後は、想定していたプラン以上に会員数が増えています。

 980円というプライスポイントはとても重要です。ワンコインで払える額ではなく、払っている意識を感じさせる金額設定だと思っています。払っている意識を持っていただくことはとても大事で、その意識に見合うサービスをきちんと提供しなければならない。ワンコインに抑えるのは価格的に魅力がありますが、実は払っていることを忘れられてしまう金額設定でもあるのです。忘れられるとHuluを見るという意識も薄くなる。Huluではアクティブユーザーの割合が非常に高いのですが、980円という金額設定もアクティブユーザーの高さに寄与していると思っています。

--見放題金額を設定した上で、新作などコンテンツごとに課金をするVODサービスも多いですが。

 そういうサービスの導入予定はありません。私たちはユーザーにすごくシンプルな形でサービスを提供したいと思っています。コンテンツごとの課金サービスに対する需要はもちろんあると思いますし、事実市場も伸びていますが、我々のユーザーに対してはシンプルなワンプライスでサービスを提供していきます。

 VODは、インターネットを通じて動画を見ることができる新しいサービスです。時間や場所に縛られない視聴スタイルはライフスタイルのチェンジとも言える。こうした新しいサービスを、できるだけシンプルで使いやすい形で提供したい。ワンプライス見放題のパッケージは、そうした思いから採用しています。

 一方視聴されるデバイスの使いやすさにも常に配慮しています。Huluはメディアを扱っている会社ですが、基本はテクノロジの会社だと思っています。技術者は自社で抱えていますし、開発もすべて自前です。ハードこそ作りませんが、そのハードに合ったインターフェースを作ったり、改善したりすることは常に行なっています。

  • 「ニンテンドー3DS」にも対応した。2画面をいかし、上の画面を再生、下の画面を操作に割り振ることで、3DSならではのインターフェースを採用

 例えば7月に「ニンテンドー3DS」(3DS)への対応を発表しましたが、2画面をいかし、上の画面を再生、下の画面を操作に割り振ることで、3DSならではのインターフェースを提供できたと考えています。 またインターネットの回線環境は、視聴する人、場所、時間によって異なりますが、どんな状況でも再生が止まらず、できるだけ良い環境で見ていただく努力を常にしています。

認知度はCM、SNS、コンテンツ提携など多角的に上げていく

--VODサービスは数多く登場していますが、Huluの強みはどこでしょうか。

 毎日良くしていく努力をしていることだと思います。例えばアップデートの予定はあっても、それを無視して直せるところはすぐに直す、改善できるところはいつでも改善する、ことを繰り返しています。そういう意味で弊社の技術チームはすごいですよ。しかしこれは技術チームだけで実現できることではなく、ユーザーの方が感じられた不具合や不満をカスタマーチームがきちんと吸い上げているからこそ、保てるクオリティだと思っています。

 弊社ではカスタマーサポートの部署も自社に設けていますが、スピード感を持って対応できています。社内できちんとコミュニケーションできる環境が整っていることも、強みの一つですね。

--サービス開始から約2年。市場での認知度はいかがでしょうか。

 認知は確実に上がっていますね。サービス開始から約半年は10%程度だった認知度が、現在は50%程度に上がってきているというデータも出ています。テレビCMなどにも取り組んでいますが、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディア、コンテンツ提携先の増加、ハードへの対応など、多角的にやっていることが認知度につながっていると思います。今回のTBSオンデマンドとのパートナーシップは、我々としてもとてもいい形でパートナーシップが結べたと考えています。今後はTBSオンデマンドでの定額制動画配信の権利をクリアした作品が配信対象になりますので、ぜひ期待してください。

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