数年前までヘッドホン業界は、ノイズキャンセリング花盛りといった感じで、各社ともノイズキャンセリング機能を搭載したヘッドホンを大々的に売り出していた。
今や、多くのメーカーのヘッドホンシリーズの中に、ノイズキャンセリングモデルを用意していて、ノイズキャンセリング機能はごく一般的なものになってきた。だが、ノイズキャンセリングヘッドホンほど、機能に差がでるものもない。しかも機能を見極めるのも難しい。スペック面では「ノイズカット●%」などと表記されているものも多いが、その数値は意外にあいまいで、なかには、ある周波数レベルに限って、ということもあったりする。そこで今回は、ノイズキャンセリング機能を搭載し「QuietComfort 20」を実際に試聴し、最新のノイズキャンセリングヘッドホンの実力に迫ってみたい。
ボーズといえば、ノイズキャンセリングはお家芸といっても過言ではない。ノイズキャンセリング機能の歴史はボーズとともにある。ボーズでは1980年代から、米国空軍に向けてノイズキャンセリングのヘッドホンを開発。1999年には、アメリカン航空のエグゼクティブクラスのヘッドホンとして採用された。
2000年には、民生用のノイズキャンセリングフォン「QuietComfort」を発売。ある時期には、飛行機でヘッドホンをつけている人を見つけると、必ずQuietComfortというほどに、ノイズキャンセリングヘッドホンブランドとしての地位を確立した。
QuietComfort 20は、ボーズのノイズキャンセリングヘッドホンの歴史の中で、初となるインイヤータイプのヘッドホンだ。 現在QuietComfortシリーズには耳をしっかりと覆うアラウンドイヤータイプと、耳に載せるようにして使うオンイヤータイプがあるが、日常持ち運ぶにはやや面倒に感じる人もいるだろう。
さらに、夏の暑い最中にオーバーヘッドやオンイヤーをつけるのも不快だ。そんなワケで、QuietComfortシリーズファンには、待ちに待たれていた機種。ヘッドホンメーカー各社が、ノイズキャンセリング機能を搭載したインイヤータイプを次々に発表する中で、満を持して放つボーズの新作ヘッドホンなのだ。
では、早速QuietComfort 20の内容を見ていこう。QuietComfort 20はAndroid系のスマホや、ウォークマンなどのオーディオプレーヤー用とQuietComfort 20iというiPhone用の2種類を用意しているが、今回、レビューするのは、Android系のQuietComfort 20。両者の差はマイク付きリモコンの違いだけなので、ノイズキャンセリング機能や音質面には差はない。
本体は、インイヤーチップを付けたハウジングと、マイク付きリモコンと、コントロールモジュールという構成だ。
何と言っても特徴的なのは、インイヤーの形状。StayHear+チップと名付けられた羽根のようなチップを取り付け、耳の耳殻にはめ込む方式を採用している。チップを耳の中に押し込まなくてすむので、耳孔が圧迫されず、インイヤータイプ独特の耳栓を押し込む嫌な感覚がないのだ。チップはS/M/Lの3つの大きさが用意されており、耳殻に羽根の部分がピッタリと収まり安定する。通常のインイヤータイプだと、ケーブルの重みなどが、耳の穴に集中するが、StayHear+チップは耳殻全体でハウジングを支えるので、つけた時の耳への負担も少なく感じる。チップのシリコンの素材も柔らかく、フワッと耳に乗せているような感じで、とてもナチュラルだ。
マイク付きリモコンはハウジング部の下の20cmくらいのケーブルに取り付けられている。スマートフォンの使用中は、通話ボタンを押すことで、電話に出ることも可能。実際に通話に使ってみたが、音声もクリアで、スマホを耳につけているときよりも話しがしやすい。
マイク付きリモコンの脇にはモードボタンを用意している。こちらはAwareモードへ切りかえるのに使用する。Awareモードはボーズの独自機能で、音楽を再生したまま周囲の不快な音を消す機能。駅や空港の待合室など、アナウンスが聞きたいときなどに、イヤホンをつけたままいられるという便利機能だ。
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