ECや金融に次ぐ事業の柱に育てる--楽天が買収した動画ストリーミング「Viki」の狙い

 Eコマースや金融サービスに次ぐ事業の柱としてデジタルコンテンツ事業を展開する――楽天は、10月18日に開催した事業戦略説明会で、買収したばかりのビデオストリーミングサービス「Viki」について語った。

 楽天のデジタルコンテンツ事業といえば、電子書籍がある。同社は2012年に世界で電子書籍事業を展開するカナダのKoboを買収。直近では10月17日にインド国内で電子書籍リーダ端末「kobo」シリーズを販売するなど、事業は18カ国に拡大。2000万のアクティブユーザーを誇る電子書籍事業へと成長しているという。

 そして電子書籍に次ぐデジタルコンテンツ事業として、9月2日にVikiを展開する米国Vikiを買収。完全子会社化した。


楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏

Viki共同創業者兼CEOのラズミック・ホバギミアン氏

 楽天は、グローバルコンテンツを展開しているVikiのノウハウやネットワークを活用し、2012年に買収したスペインの動画配信サービス「Wuaki.tv」のコンテンツラインナップを補完する。デジタルコンテンツの流通を促進することで、ローカルコンテンツを世界に配信するための流通網を築くことが目的だという。

 「Vikiを買収したことで、デジタルコンテンツ分野の強化に向けた大きな一歩を進めることができる。Eコマースや金融サービスとともに、デジタルコンテンツ事業を3つ目の主軸とし、グローバルにビジネスを展開していく」(楽天代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏)

月次ユーザー2300万人のViki

 Vikiは2010年12月の設立。同社が手掛けるのは、世界中の視聴者コミュニティが、クラウド上で著作権取得済みのコンテンツに字幕を付けるビデオストリーミングサービスだ。Viki側でアップされた動画はユーザーによって分割され、翻訳作業に入る。翻訳された台詞に合わせて動画に字幕が付与され、同一コンテンツ内に多言語化された字幕を表示できる仕組みとなっている。字幕は、視聴中でも多言語に切り替えられるのも、特徴の1つだ。

 Vikiコミュニティでは、動画翻訳に対して翻訳の質や配信ページを管理するチャンネルマネージャ、チャンネルマネージャをサポートするモデレーター、クラウドソーシングを通じて作業をする翻訳家、クラウドソーシングで翻訳のためのセグメントの分割や最適化をするセグメンターに分かれている。視聴者は、世界中でVikiを通じてコンテンツを視聴し、SNSを介して映像コンテンツを拡散できる。

 月次ユーザー数は約2300万人、アプリインストール数は1200万件以上、翻訳された言語数は160カ国を越えているという。すでに、80以上ものグローバルパートナー企業と提携しており、全世界40以上もの放送局でゴールデンタイムに放送されている人気コンテンツを、1万4000時間以上配信している。Viki共同創業者兼CEOのラズミック・ホバギミアン氏は、「熱狂的なファンコミュニティによって、ハイクオリティのコンテンツが日々作られている」と語る。

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