アイ・マーキュリーキャピタルは10月15日、ietty(イエッティ)が実施した第三者割当増資を引き受けたと発表した。調達額は約5000万円。
iettyは、Facebookを利用した不動産ポータルサイト「ietty」を運営するスタートアップ。代表取締役社長である小川泰平氏は住友不動産の出身。インキュベーターであるインキュベイトファンドが手掛けるスタートアップ育成プログラム「Incubate Camp 2nd」で最優秀賞を獲得したことをきっかけに起業。iettyの設立は2012年2月で、2013年6月よりサービスを提供してきた。
iettyは、賃貸物件を探すユーザーがFacebookアカウントでログインし、引っ越ししたい賃貸物件の条件を入力する。すると、その条件に合わせて不動産仲介業者がユーザーに物件を提案。オンライン上でメッセージのやりとりなどをしながら物件を探せるというサービス。「これまであった不動産ポータルでは、サイトからできるのは『問い合わせ』だけだった。メッセージでのやりとりや物件の評価をユーザーから直接聞くことで、さまざまなニーズをヒアリングできる」(小川氏)。
すでに実績も出ており、東京・銀座の仲介業者ではietty経由で月間30件の来客があり、うち5件が成約。80万円の売上を出しているといったケースもあるという。「サイトで物件を見て、その物件目当てで来店するのではない。やりとりをした人目当てで来店するので、『○○さんにこの条件の物件を見つけてもらおう』となっていることもあって成約率は高い」(小川氏)。
ユーザーの利用は無料。仲介業者は1アカウントごとに年間1万2000円(初年度無料)。また、ユーザーとサイト上でやりとりをする「バーチャルカウンター」の開設は1件1000円、ユーザーが店舗に来店するごとに1人6000円を課金する。
10月にサイトをリニューアルし、レコメンド機能を付けたばかりのietty。今後は年内にスマートフォンアプリの提供を予定するほか、年明けからはサービスの全国展開を進めるという。
7月に、ミクシィの100%子会社として設立されたアイ・マーキュリーキャピタル(IMC)。同社にとってはこれがはじめての投資案件となる。アイ・マーキュリーキャピタル ヴァイスプレジデントの新和博氏は、iettyへの投資について「(1号案件になったのは)タイミングとしか言えないが、ビジネスのポテンシャルが大きいと考えている。不動産業界の規模は大きい。その中で秀逸なビジネスモデルだと感じた。今までのやり方が正しいと思われていた所を真逆のアプローチで攻めてきて、それがユーザー、事業者の両者にとってハッピーなものだ」と語る。
IMCでは今後、年度内にも数件の投資を実行する見込み。同社が投資の対象とするのは年間3億円未満、1件1億円未満、バリュエーションがPost(投資後)10億円未満、資本比率が20%未満の案件になるという。今回のietty同様、シードアクセラレーター、インキュベーターが育てたスタートアップの“次”の資金ニーズを担っていく。「キャピタルゲインだけでなく、ミクシィ社の既存事業との将来的なシナジーも考えていく。初期プロダクトができていて、ユーザーからのリアクションをもとに仮説検証できるようなステージの人たちと頑張っていく。実際の投資額は数千万円程度になるだろう」(新氏)
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