「(個人向けの)PC市場は非常に厳しい状況にある。前年度比8割で推移している」──ソニーは10月8日、個人向けPC「VAIO」秋冬モデルの発表会で現状を語った。
Windows XPのサポート終了により、買い換え特需に沸く法人向けPC市場に対し、個人向けは冷え込んだままだ。
「経済環境やアベノミクスということよりもタブレット、PCに買い換えない。そういう厳しさがある。これからWindows XPの期限が切れるまで時間がある。切れた後の需要もあるので、追い風は見られてくるのではないかとも思っている」(ソニー 業務執行役員SVP VAIO&Mobie事業本部 本部長の赤羽良介氏)と説明した。
約1割がPCではなくタブレットを購入する傾向にあるほか、PCの購入サイクルがこれまでより長くなる傾向にあるという。
2013年度の国内コンシューマ市場は、タブレットが前年度比で18%増、PCは18%減と予測する。カテゴリ別に見ると、デスクトップPCは37%減、ホームノートPCは20%減に対し、唯一モバイルノートPCは9%増を見込む。
そういった中でのソニーの戦略は、高付加価値なモバイルPCの強化だ。「PCならではでできること、生産能力を発揮し、喜びと楽しみをもたらすこと。特別な存在になること」(赤羽氏)と語る。
具体的には、「撮る」「観る」「加工する」といったことを簡単に行えることだという。例えば、プレゼン資料作成を文字だけでするのではなく、VAIOで写真を撮り、ペンで書き添えて加工してPowerPointに貼り付ける──そういった一連の作業が快適にできるソリューションが「VAIO Inspiration Stream」だとした。
2013年夏モデルのVAIOは、モバイルPCの中でも特にVAIO Pro、VAIO Duoが好調だったという。「写真画質に強いことが認められ、付加価値の高い商品がよりよく売れた」(ソニーマーケティング ITマーケティング部 統括部長の下野裕氏)
今回のVAIOは、VAIOだからできることの拡大、VAIOだからこその提案により、PCの新市場の創造と再活性化を目指すとした。
秋冬モデルの目玉となるのは新機構を採用したノートPC「VAIO Fit 13A/14A/15A」だ。いずれも新たに液晶画面を裏返せる「マルチフリップヒンジ」を採用し、通常のノートPCとして使用できる「キーボードモード」に加え、「タブレットモード」や映像コンテンツの視聴に適した「ビューモード」と用途に合わせて形状を変えられるのが特長だ。
さらに、さまざまなコンテンツの撮影や資料の効率的な作成に適したアプリケーション群「VAIO Inspiration Suite」を導入している。
スキャニング用アプリケーション「CamScanner」や、写真やウェブページを自由に切り抜ける「VAIO Clip」、手書きメモを書き込める「VAIO Paper」、デジタイザースタイラスペンを使用して、よりクリエイティブに作業できるとしている。
さらに文字や写真などをきれいに撮影できるCMOSイメージセンサExmor RS for PCや、幅広い色域表現を実現するトリルミナスディスプレイ for mobile、独自の超解像技術、X-Reality for mobileといったソニーの技術を搭載。高画質で撮影をしたりVAIO上でコンテンツを閲覧したりできる。
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