米上院小委員会がAppleの納税状態について同社最高経営責任者(CEO)のTim Cook氏を含む同社上級幹部らを追及してから数カ月が経つが、米政府はまだ本件に関する問題点を見出せずにいる。
米証券取引委員会(SEC)は、Appleの最高財務責任者(CFO)を務めるPeter Oppenheimer氏に宛てた米国時間9月5日付けの書簡の中で、Appleの最新提出書類の確認作業を終え(AllThingsDが報じている)、現時点で措置はとらないと述べた。
Appleを含むテクノロジ企業はこの1年間、事業を運営する管轄区域において税金の全額を納めていないという報告をめぐり、米国、英国、欧州の税務当局からの圧力を受けてきた。
SECの規則に基づき、Appleは財務状況、税金、四半期ごとおよびその他の時期の課税方式を米政府に開示する必要がある。
2013年5月、米上院常設調査小委員会はAppleを選んで招致し、Cook氏は、政治家らによる厳しい追及に対応することとなった。
同委員会の委員長を務めるCarl Levin上院議員(民主党、ミシガン州)は、Appleが米国税法の抜け穴を「巧みに利用」していると述べた。「Appleは、租税回避の聖杯をうまく見つけた。どの地域においても納税義務者ではないと主張しながら、多額の資金を保有する組織を国外に設立している」と同議員は主張した。
米国およびその他の管轄区域において脱税は連邦犯罪だが、多くの米国西部の州において、納税回避が抜け穴として放置されたままになっている。
公聴会に先立ち、Appleは「小手先の税逃れの手法は利用していない」として声明を発表していた。
Appleは、複数のページを割いて米国経済、およびAppleが主要なオフィスを構えるアイルランドなどの国における同社の貢献を主張した。その中で、2012会計年度の米財務省に対する納税額はおよそ60億ドルだったと述べた。
Appleは、同社売上高の3分の2近くを米国外の市場で生成しており、その大部分をそれらの市場にとどめてその地域で投資している。Cook氏は、国外からすべての流入資金に対する35%という米国の税率を指摘し、現金を米国に戻すことはしていないと述べた。
前出の9月の書簡において、SECはまだ、Appleの課税方式の問題を見つけていない。しかし、同社の厳しい試練はまだ過ぎ去っていない。テクノロジ業界の課税方式に対し、法的またはその他の側面から、さらに広い範囲にわたる調査が実施されれば、米政府はシリコンバレーとの長期戦に突入する可能性がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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