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チャレンジせよ、ユニークであれ、話をうのみにするな--任天堂岩田社長の経営哲学 - (page 2)

岩本有平 (編集部)2013年10月08日 10時06分

「やる気」を出させる組織づくり

 佐山氏はここで、任天堂で以前に実施したという調査をもとに、同社社員のモチべーションの高さについて説明する。

  • 「やる気」の経年変化

 社内にアンケートを実施し、「自分が持っている力の何%くらいを出しているか」と聞いたところ、他社の回答に比べて任天堂では「高いパーセンテージで力を出している」という回答が多いのだという。また、通常年齢を重ねた社員ほどやる気が下がることが多いが、任天堂ではむしろやる気があるという回答の割合が年齢層が高くなるほどに上がっているのだという。

 これに対して岩田氏は、「自分がやっていることがお客さんにどう繋がっているのかが見えやすいからではないか。商品がお客さんの手元に届いたら、お客さんがどんな反応をするか想像するとワクワクするのではないか」と分析する。

 モチベーションを上げる理由としては当然だが、ではなぜ任天堂のような大企業でそういったことが実現するのか?岩田氏はこれに対して、「自分たちの目の前で世の中が変わっていくということを、(社員が実際に)見ることができたからではないか」と分析する。

 山内氏から「任天堂はケンカ(他社と同様のビジネスでの競争)をしたら弱い。人がやらないことをやれ」と言われてきた任天堂では、例え人気キャラクターである「マリオ」の新作を作るときにも「何か新しいモノを取り込めないか」と考え、世の中を、そしてゲームの仕組みを変えてきた。「解けない問題を解くことが『イノベーション』と言われる。例えばニンテンドーDSを作った時、画面は2つあるのが非常識だと言われた。

新しいものを生む秘訣(ひけつ)

 ここで佐山氏は、会場からの質問を求めた。最初に手を挙げたのはgumi代表取締役の國光宏尚氏。國光氏は、ゲーム会社各社から同じようなゲームが生まれる中で新しいものを生み出す秘訣を聞いた。

 岩田氏は「秘訣などがあって、誰にでもできるわけではない」と断った上で、「任天堂は、今まで成功がない分野にチャレンジしたいと言ったときに、『俺も乗った』と言ってくれる(周囲の)人が少し多い」と説明する。岩田氏自身もかつて他部署の上司に新しい試みの相談を受けたこともあるという。「組織が大きくなると一般的には難しいが、こういう文化を壊さないようにしたい」(岩田氏)

 続いては、セプテーニ・ホールディングス代表取締役社長の佐藤光紀氏が、何に一番集中してリソースを割いているかを尋ねた。

 岩田氏は「未発表のものなので、核心は企業秘密」としながら、「ゲームというもの——入力をしたら、それ以上の生理的快感が返ってくるもの——は、応用範囲が広いと思っている。その仕組みが応用できるところはどこなのか探している」と説明した。

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