ミクシィは10月1日、LINEの手掛ける結婚支援やマッチング事業を買収することを取締役会で決定したと発表した。
LINEでは、12月2日に新設予定の100%子会社「株式会社Diverse」に結婚支援事業の「youbride」、マッチング事業の「YYC」、バーを軸にしたSNS「BAR LIFE」、女性向けブログメディア「AM(アム)」などを移管。ミクシィがそのDiverseの全株2000株を取得する。ミクシィの取得価格はデューデリジェンスの費用等を含めて10億9000万円。なお、買収後もSNS「mixi」を運営するミクシィ本体とは別組織で運営し、現時点で既存サービスとの連携などは予定しないという。
ミクシィでは、「『全ての人に心地よいつながりを』提供するために、SNS「mixi」などの事業を展開してまいりました。今後も引き続き、より多くの人々に多様なつながりを提供するために、またミクシィグループとして事業ポートフォリオの拡大を行うため、Diverse社の全株式を取得し子会社化いたします」と説明している。
ミクシィは同日、業績の下方修正および役員報酬減額を発表している。2014年3月期の通期予想で120~135億円としていた売上高を80億円に、10~20億円としていた営業利益を16億円の赤字に、10~20億円としていた経常利益を17億円の赤字に、5~11億円としていた純利益を26億円の赤字に修正した。配当金も無配となるほか、社外取締役を除く取締役の報酬を、10月からの6カ月間20~100%減額する。
同社では、下方修正の理由について、スマートフォン版「mixiゲーム」の課金売上が予想を下回ったためと説明。フォトブック事業の「ノハナ」やスマートフォンゲームなどの新事業、さらには今回発表したLINEからの事業取得などで売上高の拡大を目指すとしている。
同社の資料では、Diverseでは結婚支援事業のyoubrideに注力するとなっているが、実質的に売上に寄与するのはその資料には名称の記載されていないYYCと見られている。
YYCはもともとライブドアが提供していたマッチングサービス。youbrideの累計会員数は72万人であるのに対して、YYCの累計会員数は580万人。最近ではFacebook上でも広告を積極的に展開しているが、9月30日にApp Annieが発表した7月のiOSアプリのランキングによると、非ゲーム領域で国内第3位のダウンロード数を誇っている。
Diverseに移管する事業の2012年12月期の売上高は15億6000万円と発表されているが、事業別の売上高は開示されていない。しかし業界関係者からは、「YYCはネイティブアプリとウェブでサービスを展開しており、月の売上高は合計8000万円程度になるのではないか」との声も聞こえてくる。
今回の事業売却についてLINEでは、「LINE事業の成長に向けてリソースを集約するため。また、売却によって対象事業がより成長できると判断したため」と説明する。だが一方で、「LINEが上場に向けて事業を整理し始めたのではないか」といった見方もあるようだ。
実はLINEには、すでに主幹事証券会社および監査法人を決定しており、2014年春の上場を目指して準備を進めているという業界のうわさがある。そのため、上場に向けてマッチング事業などの売却先を探していたLINEと、売上を作りたいミクシィとのニーズが合意したのではないかという訳だ。これについてもLINEに問い合わせたが、上場については「決定した事実はない」としている。
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