ゲームの開発とデジタル配信を手がけるValveは、ゲームポータル「Steam」ですでに大きな成功を収めている。そこで同社は、このポータルを、「Linux」をベースとしてテレビ向けに設計された独自のOS「SteamOS」として製品化しようとしている。目的は、家庭用ゲーム機の王者たちを追い落とし、コンピュータのエコシステムに顧客を取り込むことだ。
Valveは、SteamOSの公式ページで次のように述べている。「Steam をリビングルームに導入するための準備を進めながら、辿り着いた結論があります。それは、最適な環境でユーザー経験を高めるために Steam を中心としたオペレーティングシステムを作るということでした。SteamOS は、信頼のLinux の基本設計と大画面でのゲーミング経験の共存です。リビングルームコンピュータの為のスタンドアロンオペレーティングシステムを間もなく、無料でお届けします」
このOSを無料にし、すべての人にライセンスを提供するという戦略は、リビングルームの支配権を手に入れようとするValveの取り組みにおいてきわめて重要な意味を持つ。こうした動きが始まったのは、同社がPCとゲーム機を組み合わせた「Steam Box」と呼ばれる専用マシンを設計しているといううわさが流れた1年以上前のことだ。
この取り組みが大きな注目を集めたのは1月に開催されたConsumer Electronics Show(CES)で、Valveは、このマシンの試作機を謎めいた形で披露するとともに、ハードウェアのパートナー企業と面会を重ねた。一方、Valveの創設者兼最高経営責任者(CEO)のGabe Newell氏は、大画面へと急速に移行するという自身の計画と、Appleなどモバイルゲームに注力している企業の競争について熱心に語っている。
ただし、その過程でNewell氏は、このようなときに備えてValveの改革を断行し、何度もレイオフを実施した。中でも注目を集めたのは、Steam Box対応のゲームコントローラを設計していたJeri Ellsworth氏の解雇だ。こうした決定は、同社の従業員から「大掃除」と呼ばれていた。
このことから、Valveはソフトウェアについて、重点的に取り組んでいるハードウェアのSteam Boxと同じくらいか、それ以上に重視する決断を下したものと思われる。Valveは3月、Steam Boxのプロトタイプを3〜4カ月で出荷する計画を発表していたが、戦略が変更されたのかは明らかになっていない。
SteamOSの機能だが、このサービスを利用すると、「Mac」や「Windows」マシンのSteamライブラリに保存されているすべてのゲームを家庭内LAN経由でストリーミングできる。また、家族間でゲームを共有できる機能と家族向けのフィルタリング機能が搭載され、リビングルームでのゲームプレイに完全に対応している。
さらに、SteamOSには、セットトップボックスとの接続、NFLの視聴、さまざまなストリーミングサービスなど、Microsoftやソニーの充実したメディアサービスに対抗する機能が搭載される予定だ。Valveは、音楽、映画、テレビ番組などを提供するとしているが、具体的には、「みなさんがご存知で大好きな多くのメディアサービスと提携する予定だ」と述べるにとどまっている。
「ユーザーが無料でダウンロードでき、製造者が無料でライセンス可能なオペレーティングシステムの SteamOS が近日公開されます」とValveは述べた。同社は今週、さらに2度の発表を予定しており、同社から近日中により詳細が明らかにされることが期待できる。
次回の発表は、米国太平洋時間9月25日午前10時に予定されており、同社は、SteamOSのリリースに向けてSteam Boxハードウェアを披露する可能性がある。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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