残念ながら、それはどのレベルのセキュリティがあれば安心だと考えるかによって違ってくる。Appleは、携帯電話への不正アクセスを防ぐために使われる4桁のパスコードを有効にしているのは、iPhoneユーザー全体の半数以下だとしている。そのため、Touch IDという概念(あなたがシス卿と対戦しているジェダイでない限り、忘れる心配がない生体認証システム)が意味するのは、Touch IDを有効にしている人々は、より安全な携帯電話を持っているはずだ、ということだ。
ただ、ロックが2個ある方が1つだけよりもさらに安全だが、Touch IDは1つの認証形式しか提供していない。
--Touch IDがハッキングされる可能性はあるのか。確かに指紋センサが登場してから少なくとも20年はたっており、これまでにハッキングされたこともある。それゆえ、Touch IDが今のところハッキングされていないとは言っても、それは何よりも、端末がまだ一般に入手できる状態ではないからだろう。iPhone 5sを持つ人が急増すれば、指紋センサをハッキングする独創的で憂慮すべき手法が登場するのではないか。
iPhoneを盗もうという悪者が葉巻カッターを持ち歩き始めなければよいのだが。
--Touch IDは2要素認証を使っているのか。使っていない。Touch IDは2要素認証とは見なされていない。なぜなら2つめの認証方法を要求しないからだ。Appleが将来的にこの機能を拡張してセキュリティをさらに高める可能性はあるが、「Windows 8」のピクチャパスワードによるログインと同じように、セキュリティ情報の入力を1度しか必要としないことがTouch IDの魅力の1つになっている。
Touch IDの導入にはまだ多くの疑問が残されている。例えばユーザーがそれをどのように使うか、開発者がどう組み込むか、といった点だ。Appleの決定について大きな疑問となるのは、「私有デバイスの業務利用」というムーブメントの中で、企業がTouch IDを「より安全な」ものと見なして、従業員にそれを使うことを求めるかどうか、という点である。そしてTouch IDによってパスワードが完全になくなることはない。少なくとも、自然とそうなることはない。
大手スマートフォンメーカーで端末に生体認証センサを組み込んだのはAppleが最初ではない。Motorolaは「Atrix」でその経験があるが、失敗に終わった。
そうは言っても、Appleが行動を起こして指紋センサを導入したという事実が意味するのは、ライバルのスマートフォンでも生体認証リーダーが広く取り入れられていくということだ。人々がそれをセキュリティの万能薬だと勘違いしない限り、長期的に見ればこれは、個人とデバイスのセキュリティにとって好ましいことだろう。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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