今のところ金銭のやりとりが生じるチャンネルの開設はありません。我々としても、ユーザーのニーズがなければ意味がありません。ユーザーのニーズの高いコンテンツは我々の中で分かるので、そういった媒体社の方々と交渉し、金銭ではなくよりユーザーに喜んでもらえる観点で話をしています。
前述のように、媒体社にとってみれば新しいユーザーに出会えるかもしれないメリットがあるかと思います。それに加えて現在、Smartモードでも広告を表示できるような取り組みをステップバイステップで進めています。
ウェブサイトと同様に多くの広告を表示すると(表示の軽いSmartモードの)意味がなくなってしまいます。そのため限定的にはなりますが、媒体社の求める広告や関連リンクなども機能するようにしていくことで、ビジネスとして媒体社に喜んでもらう仕組み作りに取り組んでいます。
1日何件も問い合わせがある状態なので、興味を持って頂いている媒体社は増えています。私1人で対応しているので、追いつかないくらいです。50~60媒体とは早い時期にお付き合いしたいと思っています。
チャンネルを開設するメリットは先ほど述べたとおりですが、SmartNews内でのアクセスログなどを媒体社にご提供しています。媒体社が使用する解析サービスでSmartNews経由のアクセスを識別できるよう、トラックコードも提供しています。
そう遠くない時期に、新聞社や雑誌社など複数社に参加してもらえるというところまできています。少しずつ、少しずつ、日の当たる場所――ビジネスをしていい場所に近づいていると思います。
「アグリゲーター」という、コンテンツを見つけ出す力を担うサービスへの期待は、昨日今日生まれたものではなく、過去からずっとあったと思います。
日本では世界に例を見ないくらいにYahoo!ニュースやトピックスが発展してきました。その善し悪しに関する論評は置いておいて、彼らの価値観を大規模な人が重視してきたことは間違いありません。(Yahoo!ニュースは)自分の関心を媒体横断型でコンテンツを見つけるということには非常にフィットしました。
ブログから新聞まで、今後はさらに情報源やコンテンツは増えていきます。自分の関心あるものが集まり、読める仕組みに対するユーザーニーズは高いと思います。ですので、彼らの役割はこれからも大きいでしょう。
ですが、たとえばスマートデバイスの上でもそのニーズは同じなのか、変化するのかというと、エクスペリエンス上の問題があると思っています。
もう1つ論点があります。それは、アグリゲーションを人間がやるのか機械がやるのかということです。
我々は機械というか集合知、アルゴリズムを使っています。機械でやることの良さは、ビジネス上のコストという話もありますが、「ニュートラルな価値観でやる」というところにあります。
やはり人間がやることは、いい意味でも悪い意味でも、ある種のポリシーや価値観に基づいてします。これまでも人によるアグリゲーションには、何らかの「視点」が入っていました。結果的にバイアスがあったかも知れません。我々は、アルゴリズムによってバイアスのない形でのアグリゲーションをやっていきたいと考えています。
たとえば、ハフィントンポストもリブログのような(他者のコンテンツを引用する)モデルを駆使しています。彼らだけがそうだというわけではありませんが、最近では元記事があって、それにオピニオンを付けて新しい記事を生成するというモデルは、いい悪いという見解ではなく、すごく多くなってきています。
そこには、読者の「識者に整理してもらって事象を理解したい」「整理してもらいたい」といった視点があるのは間違いありません。
結果としてオリジナルのコンテンツに要素をプラスしたり、編集し直すということが至る所で起きているのは顕著です。ただ、従来からある法形式論で整理できるかというと難しいと思います。
おっしゃるとおりです。
もっとベタな言い方をすると、コンテンツを人に知らしめる方法としては、これまで検索エンジン以外に有効な手立てがありませんでした。
ですが今は、人やマイクロメディアがハブになることが大きなファクターになってきており、メディアの成長において無視できないものになってきています。コンテンツの流通を考えたときには、彼らを黙らせるわけにはいきませんし、拡張していく仕組みとしてリスペクトして頂く、オリジナルと改ざんの境界作りなどがこれから必要になると思います。
バリュエーションについては非公開とさせて下さい。金額が一人歩きしている話のようなのでコメントもできません。ですが、アプリの中でコモデティな要素になるものはいくつかに限られてくると思います。ゲームはやはりすごいですし、コミュニケーション系もそうでしょう。加えて広義のニュースも誰もが必要とするものです。
今後スマートフォンデバイスの数が日本の総人口に近づいてきます。そうなると、これらのアプリは何らかスマートフォンに入ってくるのは当然です。ということで、総人口に近いユーザーを目標にできる分野と思います。その中で自分たちがどこまでやれるかが会社の評価になります。我々は自分たちの価値はあまり低いものだとは思っていません。
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