ヤフーは8月8日、Android版の「Yahoo!地図」アプリを全面リニューアルした。地図の高速スクロールが可能になったほか、観光ガイドマップなども実装した。Androidアプリは、2010年12月のリリースから初の大幅刷新となる。なお、iPhoneアプリについては「iOS 7」が提供される秋以降に提供する予定だ。
ヤフーではこれまで、地図チームの拠点を東京、名古屋、大阪の3カ所に設け、主に東京でマーケティングやプロモーションを、名古屋で開発を行っていた。この体制を4月に変更し、一部の機能を大阪に残して、マーケティングと開発の拠点を名古屋に集約したのだという。今回のAndroidアプリのリニューアルは、新体制後の最も大きなアップデートとなる。
従来のYahoo!地図アプリでは、画像データからなる「ラスター地図描画」を採用していたが、これを数値データなどから構成される「ベクトル地図描画」に変更。地図の縮小拡大や回転、スクロールといった操作がより滑らかになかった。また、ルート検索などでは、電子コンパスと連動し、行きたい方向に合わせて地図が自動で回転する。
さらに、Yahoo!地図として初めて3D表示に対応。特に東京スカイツリーや六本木ヒルズなど、話題の建造物については細部までデザインを再現しているという。そのほか、地域情報サービス「Yahoo!ロコ」のリアルタイム情報を反映して、飲食店などの営業時間をアプリ内で一目で確認できるようにした。
さまざまな機能改善によって操作性が向上したYahoo!地図アプリだが、リニューアルでは独自の機能も搭載しているという。まず現地の自治体と連携し、嵐山や石垣島など全国48カ所、114枚の「観光パンフレット」を収録した。メニュー画面からガイドマップを選ぶか、地図上の該当スポットに表示されたガイドのアイコンをタップすることで利用できる。
通常のガイドマップは、PDF化したデータを表示するだけのことも多いが、Yahoo!地図アプリでは端末のGPSと連動し、ガイドマップ上に現在地を重ね合わせて表示してくれる。また、ガイドマップ内の施設にタップするとシームレスに地図画面に切り替わり、目的地までのルートを表示する。
「パンフレットは現地まで行かないと手に入らないことが多いが、各地の皆さんの熱い思いが込められているのでいずれも出来がすばらしい。それらをイラストも含めて忠実に掲載しつつ、Yahoo!地図ならではの付加価値を加えた形で提供していきたい」(ヤフー システム統括本部 マップイノベーションセンター リーダーの入山高光氏)。
地図の状態をまるごと保存できるクリッピング機能も搭載した。地点情報のブックマークだけでなく、雨雲レーダーを表示した地図や、ルート検索を表示した地図など、それぞれの目的に応じて表示した情報とともに地図を保存できる。移動が多く複数のタスクを同時にこなすビジネスパーソンなどの利用を想定しているという。
iPhoneと違い、Androidスマートフォンには標準で「Google マップ」アプリが搭載されている。そのため、同アプリの機能だけで満足しているという人も多いだろう。ヤフーでは、より日本人のニーズに沿った機能を充実させることで、ユーザーへの新たな選択肢としてYahoo!地図アプリを提案していきたいとしている。
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