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我々はプログラムから逃れられない--UEI清水亮氏が考える「人類プログラマー化計画」

佐藤和也 (編集部)2013年07月30日 11時46分
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 7月26日、サイバーエージェント・ベンチャーズにて「エンタテインメントの未来を考える会 黒川塾(十壱)」と題したトークセッションが行われた。コラムニストの黒川文雄氏が主宰、エンターテインメントの原点を見つめなおし、ポジティブに未来を考える会となっている。

 今回はユビキタスエンターテインメント代表取締役社長兼CEOの清水亮氏が登場し、同氏の考えるプログラムの成り立ちや定義、そして「人類プログラマー化計画」について語った。

黒川文雄氏(左)と、ユビキタスエンターテインメント代表取締役社長兼CEOの清水亮氏(右)
黒川文雄氏(左)と、ユビキタスエンターテインメント代表取締役社長兼CEOの清水亮氏(右)

 プログラムと聞くと、一般的にはコンピュータが行う処理を順序立てて記述したプログラムコードをイメージすることが多いが、本来は「公に書かれたもの」を意味するギリシャ語からきているもの。コンピュータの発達以前からプログラムは存在し、「未来の自分や自分以外のものを思い通りに動かすための仕組みがプログラムです」(清水氏)という。ハンムラビ法典、聖書、十戒などがそうであるように、人々の考え方や行動の規範、モラル、戒律など、特権階級が民衆をコントロールするのがプログラムであるとしている。

 清水氏はひとつの例として紙幣を挙げた。本来であればただの紙切れであるが、みんなが価値のあるものとして認識しているため、価値があるように見える。これが一種の洗脳であるという。そもそも紙幣の価値は、金の価値を担保し交換可能とする金本位制からきている。ただ事実上その制度が終わっていても、紙幣自体は流通し機能しているため、民衆が紙幣に価値があると思っている状態が維持されている。「本来存在していなかった価値がすり替わり、あたかも意味があるように見せる。それがプログラムの持つ力と言えます」(清水氏)。もちろん金融だけではなく日常の身近なところでも、いたるところにプログラムは存在し、今日でも民衆はプログラムの支配下にあり、そこからは逃れられないという見解を示した。

  • プログラムとはギリシャ語で「公に書かれたもの」を意味するもの。つまり公文書という

  • コンピュータの登場以前からプログラムは使われていたと説明

  • 金本位制が事実上終わっていても、民衆は紙幣には意味と価値を見いだしている。それこそがプログラムであるという

 やがてコンピュータが出現し、それを動かすことができるプログラムを一般の人間が書ける時代が訪れるようになった。そしてコンピュータの出現は米国のアメリカのレイ・カーツワイルが提唱した、科学技術は指数関数的に進歩するという法則「収穫加速の法則」を裏付けるものだとしている。

 例として、1960年代に俳優の植木等さんが主演を努めた映画作品のなかで、植木さん演じる主人公の職業が宛名書きだったことを挙げ、「宛名書きという仕事が成り立つ時代があったが、現代に置き換えると、電子メールのメールアドレスだけを書く仕事」(清水氏)とし、約50年経過した今では数秒で済む作業であると説明。ほかにもさまざまな事例を挙げながら、今では作業の効率化が進み、ビジネスだけでなくあらゆる面で加速していると指摘した。

  • コンピュータは、人間に「時間短縮」をもたらしたという

 黒川氏もこれを受けて、ハード面だけではなくソフト面、コンテンツの消費スピードも上がっていると指摘した。ことゲーム業界においては、モバイルデバイスで遊ぶゲーム(ソーシャルゲーム)のトレンドの移り変わり、近年のヒットタイトルのスマートフォン向け「パズル&ドラゴンズ」やオンラインゲームの「艦隊これくしょん」を挙げ、ヒットの間隔が短くコンテンツの投下や流れが早くなってるという。

 ことコンピュータの処理速度においても、年々効率化が向上している。コンピュータが最初に使われたとされる、1890年のアメリカ国勢調査で活躍したホレリス計算機は、人力では13年かかるところを、18カ月で処理することができるようになった。現代においては、整数の100マス計算を成人が約2分かかるのに対して、コンピュータは25ナノ秒。単純に比較すると、1890年に8.6倍だったものが、2013年には48億倍の処理速度に向上し、約100年で5.6億倍に高速化したと説明。そしてここで起きているのが「思考の加速。コンピュータによって思考が加速していく現象が人類全体に発生しています」(清水氏)という。そして、コンピュータの計算資源を最も効果的に扱う方法がプログラミングだとしている。

 清水氏は、この先プログラミングができないとこれまで生まれなかったような格差が出てくることを示唆。「10年以内には大きな差がでるようなことはないかもしれない。でも今の小、中、高校生ぐらいの子どもたちが成長したとき、プログラムができるできないで、ものすごい差が出てくる」という。

 プログラミング的な発想術は、コンピュータを扱うことに限らず、日常のあらゆる場面に活用することができる。黒川塾のようなイベントであれば「状況を整理する」「顧客の隠れたニーズを探る」「隠れたニーズにマッチする企画を立てる」「演者を選ぶ」「演者の方らしい価値を引き出す」「正しいコミュニケーションをする」といった戦略の立て方にもとづいて、企画を考えることが重要だと説いた。そして組織の編成や運用、戦略や企画の立案など応用範囲は多岐にわたって活用できるとしている。

  • 人間とコンピュータとの差は、人間とロケットの物理的移動のスピードの進化に比べて、はるかに差があると説明

  • 黒川塾を例に、イベント企画における隠れたニーズを探る

  • プログラミングスキルは日常のあらゆるところで応用がきくという

 人間対人間、人間対マシン(コンピュータ)となっていたコミュニケーションが、コンピュータのAIが進化し発達すると、マシン対マシンで行われる未来を予感させ、コンピュータが人間をコントロールするようなことも可能性として否定できなくなる。

 清水氏は組織論として、いかに優秀な部下を使うか、使う立場になるかであることを例に挙げ、プロミングができるということは自分よりも処理スピードの早いコンピュータを使う立場になることと説明。機械と人間との境界が曖昧になり、プログラムに支配され、機械による人間性の拡張といったことが予感できる近未来に対して、コントロールされるのではなくコントロールする側にまわるのにはプログラミングスキルが必要であり、それが「人類プログラマー化計画」の意図するところであるとした。

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