この何か目新しいモノの一つが“第三のOS”である。「Tizen」や「Firefox OS」がその代表といってよいだろう。いわずもがなであるが、“第三”と呼ばれる所以は、Appleの「iOS」とグーグルの「Android」という“二強”に次ぐ、という意味である。
第三のOSを使うと誰にどんなメリットがあるのだろうか? メーカーやキャリアのメリット(狙い)は明らかである。二強の支配からの脱却以外の何ものでもない。アプリケーションの開発者にとっては、OSごとの差異に気を使わずにアプリケーション開発に専念できることがメリットと言えよう。
それではユーザーにはどんなメリットがあるのだろうか?
OSが変わることで、今までできなかったことができるようになる、ということはなさそうである。それでは、今までより便利になる、早くなる、使いやすくなる、そういう側面はあるのだろうか? 電池の持ちがよくなる、タッチパネルの反応感度がよくなる、通信速度が早くなる。そういったエンドユーザーが享受できる明確なメリットを見出すことは難しいといわざるをえない。
第三のOSとはキャリアやメーカーと言った供給者側の論理で作られた、いわばエゴであり、そこにユーザーの視点はないというのが本当のところではないのか?
反対に、地味ながらも、エンドユーザーの価値提供に結びついているメーカーは、その業績も好調である。途中触れたように、完成品メーカーとしての日本の携帯端末各社のプレゼンスは風前の灯といわざるをえない。が、部品メーカーはなかなか好調なのだ。村田製作所、京セラ、太陽誘電といった代表的なスマホ部品メーカー各社の決算発表を見てもわかる。スマホやタブレットに利用されるコンデンサや半導体などが、電池の持ちがよくなる、タッチパネルの反応感度がよくなる、通信速度が速くなるといったユーザー価値に貢献しており、各社の好業績のけん引役になっているのである。
OSも部品の一つ。たとえその効果が小さかったとしても、ユーザーに対する明確なメリットを提供できなければ市場に受け入れられる可能性は小さい。
“端末”はユーザーにとってみれば“入口”なのである。ユーザーに対する提供価値は何か、という根源的な視点を忘れてはいけない。
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