渋谷にインキュベーションオフィス「The Startup DOJO」を立ち上げ、7月から本格稼働を開始したばかりのMOVIDA JAPAN。これまでインキュベーションプログラムを通じて合計18社に対して転換社債で500万円を出資してきた。
その中からは、ソーシャル旅行サービス「trippiece」を提供するtrippieceやオンラインギャラリー「Creatty」とギャラリーに掲載した作品を使ったECを展開するConnehito、イベントレポートを中心としたまとめサービス「U-NOTE」などが登場している。
「スピードはまだまだ足りていない。1年半で約20社に出資したが、シリコンバレーの規模を考えると、我々ももっとやっていかないといけないし、我々以外のプレーヤーも増えないといけない」――MOVIDA JAPAN チーフアクセラレーターの伊藤健吾氏は現状についてこう語る。
伊藤氏は、イベントなどを通じて「シリコンバレーでも毎年1万7000社が起業し、うち1万2000がつぶれる状況だ」と“多産多死”の状況を説明。日本でも、起業家1人1人の成功率を高めることだけでなく、スタートアップのエコシステムを拡大し起業家の数を増やすことで、(これまでと同じ成功率であっても)成功する起業家の数を増やすべきという構想を語ってきた。
MOVIDA JAPAN自体も、これまで自社で進めてきた投資事業を拡大すべく、新会社のGENUINE STARTUPSを設立。ファンドを立ち上げて、事業会社を中心に外部からの資金を募り、これまでより大規模な出資を進めていく。
GENUINE STARTUPSでは、2013年末にもファンド規模15億円を目指す。「ただファンドを作りたいのではなくて、エコシステムを作りたい。シードアクセラレーターは石から玉に磨くのが仕事。玉に磨いて、事業会社やCVC(コーポレートベンチャーキャピタル:事業会社の手掛けるベンチャーキャピタル)に持っていけるようにする」(伊藤氏)
さらに、学生向けの起業家育成プログラム「MOVIDA SUMMER CAMP2013」を7月8日に発表。学生を含めた若い起業家の積極的な育成に取り組む。
MOVIDA SUMMER CAMP2013は、「本気で世にサービスを出したい」と考えている学生を対象にした、3カ月の短期集中型起業家育成プログラム。
MOVIDA JAPANがオフィスと資金を提供し、ワークショップやメンタリング、起業家向け講座の「MOVIDA SCHOOL」などを通じて学生の起業を支援、育成するという。
採択チームには一律で300万円(バリエーション5000万円の6%)の第三者割当増資を実施する。そして、サービスの進展状況にあわせて最大1500万円までの追加出資を実施するという。
プログラム採択チームには資金提供が約束されているが、学生の意志を確かめるための条件も設定する。採択チームは自ら会社を設立する準備ができる者に限定する。また、エンジニア(もしくは3カ月の期間でエンジニアとして活動できる者)を含めた2~3名のチームを作る必要がある。
伊藤氏が「実験的なところはもちろんある。2、3件しか採択していけないのではないかとも思っている」と語るように、学生には決して簡単に選択できない自体のようにも見える。しかし一方で、採択から漏れた起業志望の学生についても、「今はまだダメだ、となっても『いつでも相談に来い』と言えるようにはしてあげたい」(伊藤氏)と、フォローできる体制を作るとした。
同プログラムへは、MOVIDA JAPANのサイトから申込み可能となっている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」