口コミや予約サービスなど、旅をテーマにしたウェブサイトはこれまでも数多く公開されてきた。最近では、ユーザー同士で旅の企画を出し、実際にツアーを開催する「trippiece」などもその存在感を増している。この分野に、新たなプレーヤーが参入する。
たびんちゅは7月26日、ソーシャルに旅行記を共有する「fantarip(ファンタリップ)」を公開した。同時に同社はシードラウンドにおける資金調達をMOVIDA JAPANとpartyfactoryの2社から実施したことも発表している。金額は非公開。
fantaripは旅行記をユーザーが作成し、ソーシャルに共有するサービス。写真をアップロードして、タイトルなど簡単な手順で旅行記を作成することができる。松本氏は「他の旅行系口コミサービスはとにかく手順が複雑。文字を沢山入力しなければならない。これをもっと簡単にしたかった」と説明。手軽さとソーシャル共有こそがfantaripの強みだと話す。現在はPC向けにのみサービスを提供しているが、今後はスマートフォンアプリをサービスの中核に据えるという。「旅行した先で写真を上げていくと勝手に旅行記ができる、そういう使い勝手を目指したい」(たびんちゅ代表取締役の松本康介氏)。
松本氏は現在26歳。大学で観光学を専攻し、卒業後にはベンチャー企業を数社経験。その過程で知り合った友人とウェブ制作会社を立ち上げて仕事を受けつつ、fantaripを開発した。「観光を学んでいたこともあり、もともと旅行が好きだった。ウェブ制作の会社もゆくゆくは旅行関連のサービスをしようと話し合っていた」と数年前から計画。「現在は資金調達もしやすい。今だと思った」ときっかけを振り返る。
また、今回、シードアクセラレーターとしてMOVIDA JAPAN、個人投資家としてpartyfactoryの家入一真氏がサービスの支援をしている。両者が同サービスに注目する理由について、まず、MOVIDA JAPANの伊藤健吾氏はターゲットとする市場の大きさに期待感を示す。
「旅行のように産業として大きな市場には必ず代理店が存在する。そういう市場はビジネスが仕掛けやすく面白いと思っている」(伊藤氏)。格安航空券や各種ネットサービスの登場で存在感が薄くなりつつある旅行業界の「代理店中抜き」にこそビジネスチャンスがあると語る。旅行関連ビジネスは、単価も高いため、成長を期待しやすいという側面もあるそうだ。
一方、家入氏はというとひたすら「人」に注目したという。「松本さんは会ったこともないのにひたすらメールを送ってきてアタックしてきた。ちょっと変わってるなとは思った」(家入氏)。家入氏にいくつものサービスアイデアを送り続けて求愛すること数カ月、ようやく目に留まったのがfantaripだったのだそうだ。
「支援先を選んだ理由をよく聞かれるが、何をやるかというよりもどういった人間がやるのか、ということに興味の中心がある。彼はものすごい熱意がある、というタイプではなく、結構ふんわりしていて、そういう柔軟なところが(同氏のほかの支援先と共通していて)好きだったのかも」と家入氏。また、並行して運営しているウェブ開発会社についても「やっぱりモノを作れるというのは強い。給料もそちらから取れる」と評価していた。
テスト期間も長くなかったのか、サービスそのものについてはまだまだこれからといった印象だが、公開後は1年以内の会員数10万人獲得を目指すという。また、ビジネスについても「例えばアプリ化した時に旅行記を飾るフレームを販売するとか、コンシューマー向けのコンテンツ販売なんかもアイデアとしてある」とちょっと変わったアプローチを教えてくれた。
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