NTTドコモとLINEは5月14日、スマートフォンにおける「LINE」アプリの利便性やサービス向上を目的に提携したことを発表した。今後は、らくらくスマートフォン向けにLINEアプリを開発するほか、LINEアプリのユーザープロフィール画面に、ドコモ専用の音声通話ボタンを配置するなどしていく。
大量のモバイルトラフィックを発生させることなどから、通信キャリアの悩みの種とも言われている無料通話・メッセージアプリ。その代表的存在であるLINEと、ドコモはなぜ手を組んだのか。また、音声通話やキャリアメールの今後の在り方について、どのように考えているのか。NTTドコモ マーケティング部 サービス戦略担当の菅川高和氏と、マーケティング部 プロダクト戦略担当主査の浜田尚氏に聞いた。
菅川氏:LINEが急速に成長していたこともあり、もともと昨年から注目はしていました。またLINEが2000~3000万ユーザーを超えたあたりから、トラフィックの負荷低減などについてもお話してきました。その他にも、両社で何かおもしろいことができないかを話し合う中で、今年に入り協業の話が出てきたというところです。
ドコモも国内に6000万のユーザーを抱えていますが、LINEは提携を発表した時点で世界に1億5000万ものユーザーがいて、かつキャリアフリーであることは非常に魅力でした。また、スマートフォンユーザーの半数以上がLINEを利用しているという調査結果もあるので、ドコモのサービスや製品とLINEが連携することで、新たな価値が提供できると思いました。
LINEとの取り組みを進めることで、音声通話収入が減るといった懸念もありますが、それ以上に一緒にできることにメリットがあると考えています。また、さまざまな連携の仕方があると思いますので、必ずしも音声収入が下がらないようにお互い検討すればいいと思います。
菅川氏:ネットワークやスマートフォンの利用環境向上への取り組みの強化については、2012年から話を進めていましたが、その他の連携については今年の1月ごろに話を始めて、実際に提携が決まったのはその2カ月後くらいだと思います。ドコモからするとかなり早いですね。
やはりLINEは仕事のスピード感や意思決定が早く、ドコモでも見習うべきものがあると思っています。今回の協業でも、仕事のスピードでは1歩、2歩先に行かれているので、そういったところは社内に取り入れていきたいですね。
菅川氏:当初の発表では4点ありまして、1つ目がらくらくスマートフォン向けのLINEアプリの開発です。こちらは、過去に発売されたモデルも含めてです。2つ目がLINEアプリのユーザープロフィール画面にドコモ専用の音声通話アプリを設置すること。3つ目がドコモパレットUIのアプリ一覧画面のお勧めタブにLINEアプリを掲載すること。4つ目が、これまでも進めてきたネットワークやスマートフォンの利用環境の向上にむけた取り組みです。
菅川氏:シニア層の方からは、孫や家族と一緒にLINEを使いたいというご要望がかなり多く、ぜひ利用してもらいたいと思いアプリを提供することにしました。ただし、らくらくスマートフォンは「Google Play」(Android向けのアプリマーケット)が利用できないので、「dメニュー」からダウンロードしていただく形になります。こちらは提供時期を10~12月とご案内しています。
菅川氏:まずはチャット機能と通話機能がメインになると思います。ですのでゲームや有料スタンプなど課金機能はまずは制限させていただき、シニア層の方にも使い勝手のいいアプリになるよう、LINEにカスタマイズしていただこうと思っています。
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