キャリアが本気で取り組むスマートフォン活用の健康管理系サービス

小笠原亮(ドコモ・ドットコム)2013年05月16日 13時43分

 昨今の世の中においては、体調の管理や食品に対するケア、更に進む禁煙など、健康志向がより一段と強くなっているように感じられる。また、これまで以上に健康関連のデータが可視化され、自分自身の体調をより詳細に把握することができる時代になっている。

 自分の体調を日々管理し、チェックするには、身近なツールを使うことが最も便利で、続けやすいと思うのだが、いま該当するツールは何かを考えると、当然ながらケータイということになる。

 ケータイで体調管理ができるというサービスを世の中に広めたという点で、パイオニアになったのは「ルナルナ女性の医学」であろう。2007年12月にサービスを開始したこのサイトは、それまでケータイにおける有料ビジネス領域としてあまり捉えられていなかった「健康管理」という分野を、生理周期管理という切り口で開拓した。その結果、多くの女性の支持を集め、更にフォロワー的な同系サイトをたくさん生み出した。体調に関する各種数値を日々入力することで、簡単に管理することができるといったサービス内容は、その着眼点と共に高く評価されている。

 その後は女性の生理周期のみならず、数多くの「体調管理モバイルサービス」が出現した。体温や体重の推移はもちろん、日々の食事内容を記録し、カロリー計算をするものや、運動内容を入力して消費カロリーを記録するもの、血圧を管理するものなど多種多様なサービスが存在する。ケータイには歩数計機能がつき、最も身近で誰でも持っているデジタルツールとなったケータイを健康管理に活かそうという動きはどんどんと加速していった。

 その際、必ずといってよいほど障壁となるのが、「入力の面倒さ」である。ケータイがいかに身近で、いつでも持っているものとはいえ、毎日数値を入力するのは結局面倒なのである。食べたものなどは1日に何品目にもなり、それを都度入力するとなると、続けることへの自信が揺らぐ人は相当数いることだろう。ケータイのカメラで食品の写真を撮って、そこからカロリーが自動で算出され、サーバに反映されるといった機能があったりすれば継続出来るユーザーも多いだろうが…。

 さらには毎日きちんと体重や消費カロリーなどを計測すること自体が出来るのか、といった持続性に関する面倒さもある。これらの障壁が、いまだに数多くのサービスにおける伸び悩み要因となっている。

 その面倒さを解消するには、なんといっても「自動的に反映される」環境があることだと考える。数値を入力しなくても、計測機器から通信で反映される、それらがどんどんサーバに蓄積され、健康管理ツールとして機能してくれれば、なんと便利なことだろうか。

 そして今、この利便性を採り入れたサービスについて、キャリアが本格的な取り組みを見せている。

 ドコモは2012年7月に、オムロンヘルスケアとの共同出資という形で、健康支援サービスの企画や開発、提供を行う「ドコモ・ヘルスケア」を設立し、2013年4月より新サービス「WM(わたしムーヴ)?」を提供開始した。「わたしムーヴ」は、からだの記録&健康管理のためのポータルサイトであり、オムロンヘルスケアの様々な健康機器とデータ通信することで簡単に数値を入力・管理することが出来る。

 さらに6月より提供予定の女性向けサービス「カラダのキモチ」においても、専用の体温計をスマートフォンにかざすだけで計測データが転送されるなど、利用障壁を排除しうるその利便性が注目される。対応機器を購入しなければならないというハードルはあるものの、計測データを転送でき点は非常に便利に思われる。

 一方ソフトバンクモバイルは、クラウド上に蓄積したユーザーの健康データを基に理想の体作りをサポートする、スマートフォン向けの新サービス「SoftBank HealthCare(ソフトバンク ヘルスケア)」を2013年夏以降に開始することを発表した。こちらは全米で大人気という「Fitbit」の最新ワイヤレスリストバンド型モデル「Fitbit Flex」を活用し、腕に着けるだけで自動的に歩数、距離、消費カロリー、睡眠時間の4つの健康データを計測するとのことである。こちらも入力の手間がなく、スマートフォンを通じてサーバに自動転送されるため、またバンドを腕に巻くだけでよいという簡単さから、非常に取り組みやすいサービスのではないかと期待してしまう。

 サービス内容に若干の違いはあれど、データが自動的にアップされるといった利便性を兼ね備えた健康管理サービスが2つのキャリアからほぼ同時期に提供されるのは注目である。完全なキャリアフリー、もしくはOSフリーではなく、利用対象者が自社ユーザーにやや閉じ気味な点や、連動機器の存在がユーザーにどのように受け取られるかなど気になる点はあるが、スマートフォンを使った健康管理系サービスがより注目を集め、どの程度の広がりを見せるのか、非常に注目である。

◇ドコモ・ドットコム
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