ソフトバンクは4月30日、2013年3月期(2012年4月~2013年3月)連結決算を発表した。営業収益(売上高)は前年同期比5.5%増の3兆3783億6500万円、営業利益は同10.3%増の7450億円、経常利益は同13.9%増の6532億1400万円、純利益は7.8%減の2894億300万円となった。
純利益は前年同期比で落ちたように見えるが、前年度は米Yahoo!の株式売却とRenrenの上場の影響により一時的に大幅に伸びた。「継続的な利益としての純利益は過去最高。形式では減益に見えるが、一時益を除いて計算すれば過去最高を更新した」(ソフトバンク代表取締役社長の孫正義氏)とし、順調に推移していることをアピールした。
また、「ソフトバンクの国内の2013年度の事業おける営業利益(国際会計基準)は、初めて1兆円の大台を突破するということをご報告させていただきたい」(孫氏)と語った。これは、2013年度の見通しで、ガンホー連結化に伴う一時益約1500億円を含む。
孫氏は、「積年の想いがあった」──と2006年に行ったボーダフォン日本法人の買収を振り返る。「年間1千億円規模の赤字を4年続けて出したまさに冬のどん底の頃に、今日のソフトバンクの状況を想像することはほとんどの人ができなかったのではないか。その時から、ドコモを超えるぞ!必ず10年以内にドコモを超えてみせる。やるんだ、という決意をもって申し上げてきた。その決意はあったが、具体的にいつどのぐらいになれるのか。かなり無理をして発言した目標だった」と明かした。
「営業利益が1兆円をほぼ確実に超えるということは、ドコモの利益をほぼ確実に超えると言うことを意味している」と意気込む。NTTドコモは2013年度は8400億円(米国会計基準)を見込むという。
1兆円の営業利益を突破した企業について、「トヨタ、NTTグループの連結の2社ぐらいじゃないかという気がする。国内の日本の経済史が始まって以来、3社目の1兆円突破の見通しとして述べられる。そういう規模になった。まさに今日のネクタイ。春がやってきた──と言う状況で、英語になおすとSpring has come.もうじき、Sprint has come.……と正式に言えるのではないか」と、スプリントの買収を絡めたジョークで記者らの笑いを誘った。
質疑応答で記者から業績が好調な理由を問われると、「我々は総合力で確実に業績を好転させてきた。そもそも、Yahoo!JAPANと米国のYahoo!を見てほしい。同じビジネスモデルで始まったが、ソフトバンクグループのYahoo!JAPANは確実に最高益を連続して実績として出している。ウィルコムもソフトバンクの傘下になったら確実に最高益。今までは、偶然iPhoneがあったから、Yahoo!JAPANがあったから──などと思っているかもしれないし、思いたかったかもしれない。日本テレコム、ボーダフォンジャパンと、これだけ繰り返しV字回復が続くのは、ソフトバンクはもしかしたらソフトバンクなりの経営のノウハウ、執念、企業カルチャーなどいろいろなものがたくさん入っているのでないか、とそろそろ想像していただいてもいいのではないか」と語った。
なお、ソフトバンクはウィルコムの更正債権・更生担保権(約270億円)を一括弁済する。弁済完了後、裁判所が更生手続き終結を決定予定で、2013年度第二四半期より連結子会社化を予定しているとした。
NTTドコモを上回ったことを強調したソフトバンクだが、「国内ナンバーワンは通過点」と意気込む。今後は、モバイルインターネットの世界ナンバーワンを目指すとした。
なお、ソフトバンクは3月29日に行われた取締役会で、宮内謙氏を代表権を持つ専務取締役に昇格すると発表している。これについて孫氏は、「毎月米国にいっているが、代表取締役の印鑑が1つしかないとその間は押せない。判子を押す係、ということで宮内氏を代表取締役に加えた」と笑いながら語った。記者から今後の体制について問われると、「ポスト孫正義というが、(宮内氏は)私より年が上。来週、事故が起きて死んだら宮内。生き延びていたら、もうちょっと若い人間が後継者になるということ。これからじっくり年月をかけて選んでいきたい」とコメントした。
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